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2009年8月31日 (月)

夏の終わり

近所のお蕎麦屋サンでお昼ご飯を食べて店を出る。小説『オーデュボンの祈り』を読みながら、トボトボと家の方へ歩きだして間もなく、「西野!」と男の声。身体がビクンと反応したのは、怖い人に絡まれた、と瞬時に判断したからだ。恐る恐る振り向けば、なんてことはない。犯人はNONSTYLEの石田である。お隣のカレー屋さんから出てきたところだったのだ。家が近所だし、帰り道が同じだったので、お喋りをしながら並んで歩いて帰った。

「バイバーイ」と言って、別れて冷静になって考えてみると、同期で、大阪から出てきて、近所に住んで、隣の店で昼ご飯を食べて、並んで帰って…一体なにをイチャイチャしとるんだ、と我ながら気持ちが悪くなる。されど同期、クサレ縁なのである。

9月のスケジュール表の後半を見ると、22日に『Made in KingKong』、26日に『ろくでもない夜』、28日に『KING KONG LIVE 埼玉公演』があって、29日に独演会を予定していて、30日に堤下(先輩)のライブ『ツッコミバカボーイ』のゲストでお呼ばれしている。8月を「ライブの夏」と言っていたが、そういえばそもそも月1で定期的にやるライブを1本増やしてしまったせいで、夏が終わってもライブが充実しているのだ。まだ言えないけれど、秋から新しく始まるモノもあって、こちらの内容はまだ少ししか聞いていないけれど、お笑い色が濃ければ嬉しい。

嬉しい事といえば、『Made in KingKong』の翌日の特番の収録である。とても繋がりを感じる特番なのだ。というのも、番組のタイトルも内容も違うが、特番を仕切るのは『キンコンヒルズ』のチーム。春に『キンコンヒルズ』が終わって、今回で2度目の特番。一緒に仕事をしよう、と思ってくれていることが嬉しい。今回の撮影にまったく関係のないスタッフさんも、現場を観に来ようとしてくれているし、なんだか仲がいい。石田同様、これもまためぐりあわせ、「縁」である。ありがたい。

それで言えば、ライブなんかは同じ時代に生きた「縁」だ。やっぱり大切にしたい。

この夏は本当にたくさんのライブをおこなってきた。たくさんお客さんに逢えたし、ライブハウスのスタッフさん、運営のスタッフさんにも逢えた。それらはライブが繋げてくれた。これからもずっとずっと続けていきたい。上に書いた通り、9月の半ば頃からまたいろいろなライブを予定しているが、夏のライブはとりあえずこれが最後。

『Made in KingKong』、まもなく開演です。

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月30日 (日)

線香花火に火がついた

火事騒ぎがあったり、『Dr.インクの星空キネマ』の制作中なんかは、半年分の原画をタクシーの中に忘れてしまう大失態があったり、結果的に無事だったからよかったものの、そのまま紛失していればこれまでかけた数百時間が水の泡。そんな綱渡り的な状態での制作はまっぴらゴメンということで、描きあげた絵はこまめに袖山さんにお渡しして、データに保存してもらうようにしている。

そんなわけで、『Zip&Candy』の9枚目の絵をジョギングがてら袖山さんのところへ持っていくことに。幻冬舎の玄関前で少し立ち話。『ろくでもない夜』が始まる数時間前のことだったが、声を出してみて気がついたが、そうとう張らないと日常会話にままならない喉の弱りように、青ざめる。しかたない。

8月は小説を20冊近く読んで、その中でプロの方の意見を頂載したくなる一冊があったので、その本を読まれたかどうか訊けば、読みました、とのことだったので、いやらしいが探りを入れてみる。感想を聞いて、ほうほうなるほど、やはりボクはまだまだ未熟。

だけど、それを武器にするかどうか、その道に進むかどうか、そういった事とはまったく関係なく、ボクは世の中にある「面白い」を全て理解したい。食わず嫌いは犬でもできるし、ボクは女の子のネイルの「カワイイ」だって理解したい。「面白い」が理解できた上で、自分の意見を持ちたい。勉強、勉強なのである。大切なのは、その対象をもっと好きになること。

そして『Zip&Candy』の9ページ目の絵を渡す。こちらはボクとまったく同じ考え、「この絵を表紙にしましょうよ」と袖山さん。まぁ、正直に言えば、8ページ目の絵を描いた時も表紙にしようと思ったし、6ページ目の絵の時も。新しく描くごとに変わってくるが、でも今は確かに今回のページの絵がもっとも表紙らしい絵だと思っている。最終的にどれになるやら。

幻冬舎に届いたお手紙をいただいた。イラストレーターの方からで、以前、このブログにも書いた、将来は絵本を何人かで作りたい、という考えに賛同してくれようとするとてもありがたい内容。これに関してはボクは本気で、ボクはボク1人で作るモノもあれば、ボク1人ができることには限りがあるから、手分けして作るモノもあっていいと思っている。幻冬舎に届いたお手紙はありがたく拝読させていただいた。少し欲を言えば、あなた様が描かれた絵を見せていただくと、とてもありがたい。だけど、気持ちはしっかり受け取りました。

ダラダラと長い文章になってしまい申し訳ありません。

そんでもって糞ライブ『ろくでもない夜』が終わった。オープニングから声はガラガラなのに、独演会の鹿児島公演でおこった事件をフルスロットルで喋ってしまう。ペース配分のヘタさには定評があり、開始2時間で喉が痛いったらありゃしない。それでも、芸人だけの空間はやっぱり楽しくて、そして『ろくでもない夜』のお客さんが、エハラマサヒロとガリガリガリクソンの喧嘩を笑い飛ばしてくれるお客さんであることに嬉しくなり、また喋る喋る喋る。『ろくでもない夜』のお客さん、どうもありがとう。

終演後、声はいよいよカッスカス。寝て起きて、病院。今から特番の打ち合わせ、そして『はねるのトびら』の収録。

「ライブの夏」もあとひと踏ん張り。残すところ『Made in KingKong』のみ。この夏、たくさんのお客さんに出逢った。今の気持ちは『Made in KingKong』が終わった時に綴ろうと思います。

いよいよ最後です。

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月29日 (土)

海にひろがる夜光虫の星空

笑い方の気持ち悪さには定評がある現場マネージャーの佐伯くんに、先日の『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』の模様を収めたDVDを渡される。昔と違って、最近は自分が喋っているところを映像で観るのが恥ずかしくなってきたので、どうしたもんか、と思ったが、自分の喋りの癖を知るにはいい機会だし、家に帰って観たら、やっぱり恥ずかしかった。

29歳の男が汗だくで2時間弱、ワンワンと叫んでいた。例えば40歳になったボクがこの映像を観たらどう思うんだろうか、なんて考えた。まだまだ尻が青い、と鼻で笑えるようになっていたいものだ。

『音楽戦士』の収録終りで、『正直しんどい』の撮りがあって、声がいよいよ限界。この文章が更新されている今頃はオールナイト糞ライブ『ろくでもない夜』の最中で、みっともない声を晒しているに違いない。ライブは朝まで、次は『はねるのトびら』の収録。身体はまったく問題ないが、喉は少し休めたい。喉のスペアが欲しい。

ライブにまみれたこの夏も、残すところ『ろくでもない夜』と31日の『Made in KingKong』の2本。そろそろ打ち上げる。全国各地を飛び回っている間にも、チマチマと絵本制作は進めていて、今朝、絵本第2弾『Zip&Candy』の9ページ目を描き終える。まだまだまだまだ完成は程遠いが、ホッと一息。台本の9ページのところに『済』という一文字を入れる瞬間だけが救われる。

このペースでいけば『Zip&Candy』の完成は再来年の夏。夏に終わるし、今度こそ海に行こう。そして一日中プカプカと海に浮かんでいよう。夜は海を眺めながら島酒を呑んで、新しいお話を考えてみよう。思いつかなかったら、それでもいい。ただ、考えるのは好きだから考える。その頃にフラット・マンドリンを手にしていたら、そいつも持って行こう。

その音色が夜の海に響けばきっと楽しい。

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月28日 (金)

ほしーの!

ボクは忙しいのである。「嘘をおっしゃい」と言われるかもしれないが、自分の将来の準備でメチャクチャ忙しい毎日だ。ボクの将来の夢は、「レギュラー番組をたくさん持つ」だとか「お笑い界を牛耳る」といったものではなく、『ゆかいなオジサン』になること。

『ゆかいなオジサン』は陰湿ではなく、海賊映画などに見られる酒場にいるような連中をイメージしていただければ、と思う。近づくとなんだか楽しそうな人。

『ゆかいなオジサン』への道は険しい。ボクは『ゆかいなオジサン』になる為に、やらなくていいことは徹底してやらないし、やらなければいけないことは眠い目をこすってでもやる。やらなければいけないこと…まず、『ゆかいなオジサン』は楽しいお話をいくつも持っていなければいけないし、全国各地を旅して回っていないといけない。今のところ漫才と絵本はいい材料だ。コメディーをもっとたくさん作らねば。

あとは音楽である。ボクの大好きな大傑作コメディー映画『お熱いのがお好き』に出てくる主人公の2人組みが楽器を演奏するんだけれど、その姿がとても色っぽくて、いつも真似したくなる。だが、彼らの持つ楽器はウッドベースとかで、なかなか持ち運びが大変そう。

どこかに素敵な楽器がないものか、と思っていた矢先、後藤ひろひとマンの舞台を観にいった時にもらったトレーディングカードに写っていた楽器がとてもカッチョ良くて、「これは何という楽器ですか?」と訊けば、「あっくんよ。これは『フラット・マンドリン』というんだよ」と教えてもらった。先っちょがクリンと渦巻いていて、見た目がとっても素敵。

そして、そのフラット・マンドリンの音色はというと、海賊映画の酒場のシーンで必ずといっていいほどバックで流れている陽気なアレである。ここに『ゆかいなオジサン』像と繋がり、ボクは一撃でメロメロになった。

フラット・マンドリンが欲しい。フラット・マンドリンが欲しいのである。

だが、手に入れたところで終わりではない。弾けるようにならなければいけないのだ。そしてネットで調べていたら、『フラット・マンドリン教室』なるものが、新宿にあるではないか。ルミネ出番の合間に通えるんじゃないかしら?いや、ルミネ出番の合間はいつも絵本制作などに時間を費やしている。じゃあ、その溢れた絵本制作の時間をどこで作る?家に帰ってからは、漫才を作ったりの時間だし…あぁ、忙しい!といった感じで忙しいのである。

簡単には『ゆかいなオジサン』にならせてくれなさそうだ。しかし欲しいぞ、フラット・マンドリン!

そんなわけで、明日(日付上は今日)の夜はゆかいな糞ライブ『ろくでもない夜』がある。このライブに関してはいつも企画にはほとんどノータッチだけれど、今回はエハラマサヒロとガリガリガリクソンによるガチンコ相撲が観たいと思った。が、ガリクソンが大阪だった為、おあずけ。今ならしっかりと熱があるし、絶対に面白いと思うんだけどなあ。なにより笑い飛ばしてやりたいし。

はたして今回は何をするんだか?噂では誰かが罰ゲームで富士山に登ったとか。

まぁ、楽しみです。

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月27日 (木)

笑って笑って

小学2年の時。目の前の人が笑って、ボクはチンポコのあたりがそわそわして、どうしようもなく嬉しい気持ちになったから、これを一生続けようと決めた。

あれから何年経って、それを仕事にした今でも、人が笑うとあの頃と同じようにチンポコのあたりがそわそわして、どうしようもなく嬉しい気持ちになる。まったく飽きない。

人が笑う瞬間が好きだ。

この人生、人が笑う瞬間に誰よりも長い時間立ち会いたい。一秒でも長く立ち会う為に、一秒でも長い時間をかけて準備をする。頭を掻き毟って、汗を流して、足を運ぶ。

『KING KONG LIVE 長崎公演』、そして今日の『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』、それぞれの単独ライブの移動日にも漫才出番を入れてもらって、佐賀と福岡で舞台に立った。もちろん全力。

おかげで声はボロボロ。それもプロとしてどうかとは思うが、だけどワガママを許していただけるなら、それでも人が笑う場に行かせてほしい。

明日は東京に戻って、『音楽戦士』の収録、明後日は『ろくでもない夜』、その次は『はねるのトびら』、そして31日に「ライブの夏」の締めくくり『Made in KingKong』。その翌日に特番の収録が控えていて、とにかく喉が心配。

もう自分の見たくれなんてどうだっていい。誰が何を言おうと、ボクはボクのやりたいこと、やらなくちゃいけないことをやる。マイルドさなんてクソくらえ。ボクは芸人として生きて、芸人として死ぬ。小学2年のボクに、物陰からコッソリと見られているような感覚に陥る時がある。そんな時に、小学2年をガッカリさせてしまう自分ではありたくない。小学2年の目をランランと輝かせて、奴に「将来って楽しい」と思わせたい。九州のお客さんの笑い声を聴いて、九州の芸人さんの優しさに触れた夜に想う。

ボクもあなたもカナヅチで すぐに溺れてしまうから

頭に輝く星空も すぐに観えなくなってしまう

ボクが涙を流したら 大きな海ができるから

泣くのはやめておきましょう 泣くのは捨ててしまいましょう

そして笑い声が降れば ハッピーエンドとよびましょう

今夜、笑い声が降れば ハッピーエンドとよびましょう

4日間の九州遠征、とても楽しかったです。九州の皆様どうもありがとう。

また逢いに来ます。また遊びましょう。

西野亮廣

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月26日 (水)

ライブと酒と九州に響く笑い声

ここしばらく九州に滞在している。夜は社員の坂口君とひたすら呑んでいる。『KING KONG LIVE 長崎公演』があった佐世保は彼の地元で、いろんな店に連れていってくれた。米軍の住居があるから、酒場にはアメリカ人さんがあたりまえのようにいて、ロケでシンガポールにいった初日に地元の人達と花火をした事で知られる、順応性が異常に高い西野亮廣は、気がつけば70歳手前のお爺ちゃんアメリカ人『ボブ』と『バスター』とすっかり意気投合して、ボク、坂口君、ボブ、バスター、というワケのわからない4人で酒を呑んだのである。そこに坂口君の妹ちゃんも参戦して、もはや何のことだかわからない。

梶原も飯に誘ったけど、バカだから寝てやがった。そしたら2件目を出てお腹もポンポコリンになったあたりで、梶原から「腹減った」と電話があり、「知るか」と答えたら、優しい坂口君が「ボクが付き合いましょう」と手を挙げてくれて、そこで皆と解散した。

ボクは海が観たかったので、ビール瓶片手に、フラフラと海の方に歩いたら、「あ、西野さん」と後ろから声がして、振り返ったら坂口君の妹ちゃんがいた。かくして社員さんの妹と二人で並んで夜の海を観るということとなり、まさかのロマンチックな雰囲気。妹ちゃんの仕事の話を「うん、うん」と聞いて、時間も遅いしそこで別れた。そしてまた1人フラフラ歩いていたら、梶原と飯を食べ終えた坂口君から電話があり、「第2ラウンド行きましょう」と再合流。「九州に酒豪坂口あり」なのだ。それからすいぶんと呑んだ。我々、チームキングコングは、九州に訪れた人を確実に楽しませる彼のことを「坂口エンターテイメント」と呼ぶのである。

佐世保バーガーの旨さを何度も語りかけてくる梶原はムカつくが、今回の佐賀、長崎、博多、鹿児島の九州遠征は楽しいのである。

さて、九州最後は『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』がある。

つい先日、大阪公演を打ち上げたばかりだ。それを思うと8月のライブの詰め込み様には笑えてくる。このまま声が出なくなるんじゃないか、と心配になるぐらい毎日のように叫んでいる。大丈夫なのか。しかしながら、大阪のお客さんに「行ってきます」と言ったばかり。みっともないことはできません。ドカーンと爆発してこようと思います。鹿児島の皆様どうぞよろしく。

『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』、まもなく開演です。

2009.08.26 LIVETRAIN69号 『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』

2009年8月25日 (火)

世界で一番きれいな音

ある時期、漫才と漫才以外のバランスが「漫才師」と呼べるモノではなくなっていたので、それはおかしな話だ、という事で、『KING KONG LIVE』をスタートさせた。

それから野を越え山越え海越えて、漫才漫才漫才。梶原はアホだし臭いからムカつくけれど、やはり西野亮廣はキングコングの西野亮廣ですから、センターマイクを挟んで梶原と2人で舞台に立っている時が自分的には最もしっくりきてしまう。

『KING KONG LIVE 長崎公演』があった。客層は老若男女バラバラ。ありがたや。

汗をダラダラ流して、唾をたくさん飛ばして、血管が切れるほど叫んで、最後は手の先がピリピリと痺れだして、楽屋でブッ倒れた。そしたらアンコールが起こって、ちょうどネタのストックがあったので、「もう一本いくか」と梶原と話して、舞台に出ていった。

『LIVE』とは見事な言葉を作ったもんだ。

アンコールで舞台に出ていくその瞬間、確かに「生きている」と思えた。そして「笑い声」という、お客さんと演者が繋った合図が、いつもボクを幸せにしてくれる。「ガハハ」という音に、子供の頃からもうずっと侵されっぱなし。

長崎の皆さん、どうもありがとう。せっかく繋がれたんだから、これっきりにはさせない。ネタをたくさん作って、また逢いにきます。

舞台から観たお客さんの笑顔はメチャクチャかっこ良かったです。いつもその顔でいて下さい。いつも笑うあなたがボクの憧れです。

明日は『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』、正直、少し喉は辛いけれど、これぐらいなら大丈夫。最後まで走り切ります。

もうすぐ夏が終わる。

2009.08.26 LIVE TRAIN 69号 『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』

2009年8月24日 (月)

笑えりゃ大丈夫

「夏はライブっしょ」の一言でスタートした、この夏のライブラッシュもいよいよ大詰め。

日付上は今日から、『KING KONG LIVE 長崎公演』『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』『ろくでもない夜』『Made in KingKong』が、ほぼ一日おきにおこなわれる。ライブ最終日の『Made in KingKong』の翌日が特番の収録で、とにかく喉が心配。しかし自分で決めたこと。それに「楽しい」、それが一番。

あまり多くは言えないし、それに最終的には自分で決めた事だから「勝手なことを言うなよ」という話だけど、この夏に予定していた『ダイヤル38』の公演中止には本当に悔しい思いをして、それだけに独演会の大阪公演でお客さんが迎えてくれたくれた時、そして最後に立ちあがって拍手で見送ってくれた時は、やっぱり嬉しかった。

いつも土壇場では、お笑いに助けられている。笑いに来てくれるお客さんに助けられている。

お返ししないとね。

大阪の独演会に来てくれた女の子にもらった手紙を読んだ。好きなことをする為の資金作りで、この夏の終わりからホテヘルの仕事を始めるらしい。大変な仕事だと思う。例えば、女の子が好きな事をしていたら、「頑張れ」と言えるけれど、ボクは女の子の経済的な事情までは知らないので、その資金作りの方法が正しいか間違ってるかなんて、そんな勝手なことはやっぱり言えない。

だけど正解なんてほとんど誰も知らないのだから、自分が本当に正しいと思ったら、その気持ちは信じてあげた方がいい。周りの言葉もあるけれど、まず自分は自分の味方でないとね。そして、それでも辛くなったら、またライブにおいで。ボクが助けてもらった分くらいは、お返しします。ボクはお笑いが正しいと信じています。笑ったらどうにかなると思っています。

さて、今日は『KING KONG LIVE 長崎公演』、長崎は前に独演会でも来たので、今度来るのは少し先になると思います。なので、楽しんで帰っていって下さい。このライブが長崎の皆様の夏の思い出の1ページに刻まれたら、ボクは幸せです。

『KING KONG LIVE 長崎公演』、まもなく開演です。

2009.08.24 アルカスSASEBO 『KING KONG LIVE 長崎公演』

2009年8月23日 (日)

絵本のボツネタ

『Dr.インクの星空キネマ』を書こうと決めた時に、20本ぐらいのお話をドバババーンと書いて、厳選した4本を絵本に、そして1本は『ヤクとヤヨイの千年物語』として、前回のライブでは朗読させてもらった。いつかこいつの出番があるのかないのか、しかしまぁ確実に、出番に一番近い場所にはいる。『Zip&Candy』は、また別の畑。

そうではなく、20本の中には煮ても焼いてもどうにもならない、そもそも星とはまったく関係のないお話があって、20本中ダントツ最下位を独走しているそのお話を今日は紹介しよう。ここで紹介せねば、日の目を浴びることがない野郎なのだ。皆さんの退屈しのぎに…

【桜】

「いつかお金がたまれば、立派な墓を建てますから、それまではお母様とすごしたこの桜の木の下で安らかにお眠りください」

墓をたてるお金もなかった少年は、母とよく遊んだ思い出の桜の木の下に、母の骨壺を埋め、手を合わせました。

少年が目を閉じていると、少年の背中から賑やかな声が聞こえてきました。「あ、ここ!この桜」「あ、そうだ!懐かしいね~」「早く、早くぅ~」、振り返れば5、6人の大学生らしきグループが大きなスコップを持ってこっちへ向かってきます。

何事か、と思っていたら、大学生グループの1人が大きなスコップで桜の木の下を掘ろうとするではありませんか。「ちょっと何をするんですか!」慌てて少年が止めると、大学生は眉間にシワを寄せて、「なんだよ、邪魔すんなよ」と言います。

その大学生の顔はとても恐ろしかったのですが、「この桜の木の下に母の骨が眠っているのです。掘り起こすようなマネはやめて下さい」と少年が勇気を振り絞って言うと、大学生の一人がすぐさま言葉を返しました。「俺たちのタイムカプセルもこの下に埋まってるんだよ」

なんと。

この大学生達の埋めたタイムカプセルの上に、母を眠らせてしまったのです。これは大変なことです。母に「安らかに眠って下さい」と言った手前、すぐに掘り起こすわけにはいきません。とはいえ、向こうの事情もよくわかります。そもそもタイムカプセルとなると、ここに埋めたのは数年前でしょう。向こうが先客です。

しかし、こっちは墓を建てるまではここに眠っておいてもらわないといけないんだ。タイムカプセルなら掘り起こすのが半年先でもいいじゃないか、と勝手に決めつけた少年は、大学生グループを追い払うことにしたのです。少年は大声で

「O△§〒ベバ♯デボ※ババボ!」

とイカれたフリをして、大学生を追い払うのに成功しました。

少年は再び桜の木の下で手を合わせ

「安らかにお眠り下さい」

と言うと、今度はギャングの2人組がやってきました。ギャングは黙って桜の木の下を掘ろうとします。「何をするんですか?やめて下さい」と少年が止めに入ると、ギャングはすぐさま言葉を返しました。「ここに麻薬を埋めてあるんだよ。あっちに行ってろ、殺すぞガキ」

なんと。

ギャングの麻薬の受け渡しが、こんな形でおこなわれていたとは。とにもかくにも、大学生の埋めたタイムカプセルの上に眠らせた母の横には麻薬があるようです。土の中はとても賑やかです。しかし、母に「安らかに眠って下さい」と言った手前、すぐに掘り起こすわかにはいきません。とはいえ、向こうはギャング。「殺すぞ、ガキ」とも言ってきました。母の骨の上で殺されるとは、なんて親不孝なことでしょう。気がつくと、すっかりギャングに胸ぐらを掴まれています。このまま殺されてしまうのでしょうか。

その時でした。「何をしてるんだ、キミ達」

遠くの方から大人の男性の声がしまった。

「マズイッ!」と言って、ギャングは少年を放し、一目散に逃げてゆきました。とにもかくにも母の骨を掘り起こさずにすみました。

少年は三度、桜の木の下で手を合わせ、

「安らかにお眠り下さい」

と言うと、背中から「キミ、大丈夫だったかい?」と優しい声がしました。振り返れば、さっきギャングを追い払ってくれた声のオジサンです。オジサンの名前は糸井重里さんといいました。そしてオジサンの後ろにはTVカメラやショベルカーなどがズラリ。訊けば『ギミアブレイク』という番組の撮影のようです。

糸井重里さんはショベルカーに指示を出して、桜の木の下を掘ろうとしました。「何をするんですか、やめて下さい!」と少年が言うと、糸井重里さんはすぐさま言葉を返しました。「この桜の木の下には埋蔵金がね…」

なんと。

そういえばTVで観たことがあります。昔の殿様が残したといわれている宝を掘り出す企画です。あれが『ギミアブレイク』という番組だったのです。とにもかくにも、埋蔵金の上に、タイムカプセル、その上に母、その横に麻薬…土の中はすっかりパーティーです。しかし、母に「安らかに眠って下さい」と言った手前、すぐに掘り起こすわけにはいきません。この人なら分かってくれるだろうと思った少年は、糸井重里さんに正直に事情を話しました。糸井重里さんはとても親切で、「それだったらしかたがないよね」と言って、TVカメラとショベルカーと一緒に引き返してくれました。少年は、あの優しすぎる性格で埋蔵金が見つかるか心配になりましたが、とにもかくにも母親の骨は堀り起こさずにすみました。

少年は四度、桜の木の下で手を合わせ

「安らかにお眠りください」

と言うと、後ろから白い着物を着て、おでこに三角の白いのをつけた母がやってきて言いました。

「寝られへんから、場所かえて」

~おしまい~

大きな桜の木の下はいつの時代も皆の目印になっただろう、というところから作ったお話です。『Dr.インクの星空キネマ』に入らなかったのは当然です。糸井重里さんが出演されているからです。

さて、今日から九州入りです。『KING KONG LIVE 長崎公演』『第41回 西野亮廣田独演会 鹿児島公演』、そちらの方はしっかりやりたいと思います。

九州の皆様、よろしくどうぞ。

2009.08.24 アルカスSASEBO 『KING KONG LIVE 長崎公演』

2009年8月22日 (土)

穏やかな時間

仕事終わりに六本木のクラブに繰り出して、時にはアイドルの卵とパーティーなんかもして…といった派手さがボクにはなく、芸人仲間といつも同じ店でチビチビといつもと同じ酒を舐めて、いつもと同じようなお笑いの話。

昨晩はそこに、大阪の独演会も観に来てくれたgrandcanyonデザイナーのYOSHIさんが来てくれて、とても興味深いデザインについての話を聞いていたかと思えば、その中で出てきた「生みだす苦労」というワードで話を引き取って、「単独ライブが迫ったら、作家を何人も集めて会議室にこもって…それだと意味合いが『単独ライブを乗り切る』ということになってる!『自分が面白くなる為に単独ライブをやる』が正しい流れでしょ?若手芸人はもっと自分でネタを作らないとダメだ。ていうか、そもそも、ネタを作りたくて作りたくてしかたがない状態になってないのか?なんだい、まったく!ねぇ、YOSHIさん?」と、ファッションデザイナーさんからしたら、知ったこっちゃない甚だしい話のパス。結局、お笑いの話になってしまって、反省なのである。

休みの日は朝から作業部屋ZipMotorsにこもり、シコシコと制作活動。昼すぎに作業を中断して、近所の『ゆで太郎』まで小説を読みながら歩く。その間にご飯屋さんは何軒もあるけれど、入ったことのない店に飛び込む勇気はなく、基本的には『ゆで太郎』か『松屋』。いつも、ざるそばを注文して、めんつゆの残量を気にしながら、ざるそばを喉に入れる。今日はペースを考えず食べてしまって、途中でめんつゆが無くなり、どうしたもんかと店員さんに相談に行ったら、普通に注ぎ足してくれて、なんとこんなサービスがあったのか、と小さくガッツポーズ。帰り道に「これからはめんつゆの残量を気にしないで食べられるなぁ」とニンマリ笑う29歳。

ZipMotorsに戻り、作業再開。手だけが延々動いている静かな時間が流れて、まもなく夕日が射しこんでくる。夜ごはんを『松屋』で食べて、また作業再開。作業に疲れたり、指が痛くて筆が持てなくなったりしたら、席を離れて、ギターをポロロンと弾く。フザけた唄を作ってみたり。そんな休憩をはさんでまた作業に戻る。呑みの誘いがあれば行くし、なければ夜更けまでひたすら作業。気がついたら寝ている。ベッドで寝る時もあれば、机で寝る時もある。

ライブの時はライトが当たって、TVの時はカメラを向けられて、向こう側にはたくさんの人がいて、それなりの感じにはなっているけれど、そんな時以外はなかなかどうして地味な時間を過ごしている、が、それで結構幸せだったりする。デビューしたての頃とは目的が変わってきたからだと思う。

24日にある『KING KONG LIVE 長崎公演』でやるネタのラインナップを決めた。前回の『Made in KingKong』で作ったネタを一本入れることにして、刻一刻と迫る長崎公演に胸を躍らせておるのです。『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』も間もなく。

また賑やかになるなぁ、とZipMotorsの机に座り、頬杖をついています。

2009.08.24 『KING KONG LIVE 長崎公演』

2009年8月21日 (金)

ZipMotorsだより

独演会の大阪公演をあの調子で喋っちゃったから、さっそく声がカスカスになっている。これは非常にマズイのだ。「夏はライブっしょ」の一言で始まった8月のライブラッシュがいよいよ佳境。

来週一週間で、『KING KONG LIVE 長崎公演』『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』『ろくでもない夜』『Made in KingKong』の4つのライブがあるのだ。無事に走りきれるのか?この声は最後まで出てくれるのか?頑張れ、西野亮廣。

そんなかたわら、今日も制作部屋ZipMotorsにこもり、芸人風情が絵本制作に狂っているのであります。このブログでも何度も話題にしている絵本第2弾『Zip&Candy(ジップアンドキャンディー』である。

堤下(3頭身)と2人でおこなった、どういうわけか好評だったライブ『真夏のときめき☆歌謡ショー』の中で朗読した『ヤクとヤヨイの千年物語』。これはボクの処女作である『Dr.インクの星空キネマ』のサイドストーリーで、あのライブに来られた人はその内容を知って、『Dr.インクの星空キネマ』という話が、非常に長い時間をかけた物語だということがチョコットだけ分かっていただけたと思う。

そして『Zip&Candy』の制作である。舘野さんや、袖山さんと話す時も、目標とするところはただ一つ。「『Dr.インクの星空キネマ』を圧倒する」ということ。それはなかなか至難の業で、そんなわけで、「ギャーギャー」と喘ぎ声を上げながら、筆を走らせる毎日であります。

『Zip&Candy』には登場人物が3人しか出てきません。ロボットのジップ君とキャンディーちゃん、そして人間のサンドイッチ博士のたった3人。物語もとてもシンプル。「伏線をひいて~」みたいな事もありません。それでも前作を飛び越える十分な匂いです。

1ページを描きあげるのに1ヶ月。今回も完成までには膨大な時間を費やし、今回も完成までは苦しさばかり。何度も投げ出したくなるけど、ボクは「作品」というのもの、海や時代を飛び越えていける、その可能性を信じています。作らなきゃ。

DVDも作品。独演会のDVD化も、きっとその声が多ければ、無い話じゃないと思う。いつかそいつもボクの行けない場所に飛んでいってくれたら嬉しいな。

ブログは来年で閉じます。喋るんじゃなくてね、作品を作って、それをボクの言葉とさせていただこうと。

しばし、お待ちを。

2009.08.31 北沢タウンホール 『Made in KingKong』

2009年8月20日 (木)

声が出るうちに

こんな事を言ったら怒られてしまうかもしれないし、もちろんそんなモノは無くなってしまった方がいいとは頭では思っているんだけれど、だけど正直な話、今日も世界のどこかでおこっている紛争や飢餓、そういったものに対して、いまいちピンとこない。

自分の手がそこまで届かないなぁ、と思ってしまうし、暮らしている中で、そういった事を考える時間がそもそも少ないと思う。

ボクは大それた人間ではなくて、やっぱりできることには限りがある。そんなだから、自分のできることぐらいは身体をはって責任をとろうと思う。

『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

京橋花月劇場を埋めた500人のお客さんの中には、もしかしたら本当に辛い日常をおくっている人がいたかもしれない。笑っている場合じゃない人がいたかもしれない。だけど、笑いに来てくれた。

そしてボクには約2時間の公演時間や、劇場に来るまでの移動時間、家に帰るまでの時間、そういったお客さんの人生の数時間、そしてチケット代3000円の責任がある。絶対に笑わせてやろうと思うよ。

大阪のお客さんは本当に優しかった。舞台に出ていくやいなや「西野ー!」と男の汚い叫び声、そんな一言でボクは勝手に40回という道のりを全て肯定してもらった気がしたよ。

DVD化するのかどうなのか、とにかく大阪公演は大きなカメラが3台入っていて、舞台から照明から何から何までこの公演用に作ったし、そしてスタッフさんの数、舞台裏は仰々しい雰囲気だった。そういった少しメモリアルな公演ではあったので、ボクもスーツを着て出て行こうか迷ったけれど、やっぱりやめた。いつも着ていないから。それでもこの公演用にTシャツを用意して、最終的にはその自分にもムカついて、結局、京橋花月の楽屋に落ちていた誰のものかわからない汚いTシャツを着て出て行った。大阪公演を特別なものにしてしまっては、他の地方での公演にも、そして大阪公演に対しても失礼だと思ったから。いつもの姿を見せないと。

ボクの身体は一つで、そんなボクにはやっぱり日本は大きい。ライブで全国を一周するのには本当に時間がかかる。来年の誕生日にはこのブログを閉じて、また一周して大阪に帰ってくる頃には、きっとボクはもうこういった言葉を吐かなくなっているから、今日のうちに言わなくちゃ。

大阪公演に来てくれたお客さん、きっとこの文章を読んでるね。

ボクはアンタ達が大好きなんだよ。いつだって笑って解決しようとするアンタ達が大好きなんだよ。その生き方が間違っていないということをね、足を震わせながら大口を叩いたり、たまには喧嘩したり、少々身体に無理をさせて、証明してやろうと思うよ。

来週は鹿児島公演。全国を一周して、次に大阪に帰った時には、また昨日のように迎えてくれると嬉しいです。その日までお互い踏ん張って生きましょう。

最後に大阪の皆さんへ。

ありがとうございました。行ってきます。

西野亮廣

2009.08.26 LIVE TRAIN69号 『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』

2009年8月19日 (水)

Wonderful World

今月31日の『Made in KingKong』のオープニングでやる新ネタを無事に書き終え一安心。今回はボクがどうしてもやりたいツカミネタがあって、本編と何ら関係ないが、強引にネジ込ませていただいた。「どうして、流れに関係のないネタをいれるんだ?」と問われれば、「だって、やりたいんだもん」と言うしかあるまい。ボクがこんなワガママを言い出したら聞く耳を持たないのを千も承知の梶原はもはや何も言わず、キングコングのネタ合わせはシレッと始まったのである。

和田竜さんのコラムの挿絵も締切ギリギリにスベリこませることに成功する。そんなわけで、もろもろの作業を済ませ、ただいま大阪のホテルにいる。夜はロザンの菅ちゃんと呑みに行く予定。明日(日付上は今日)はとうとう独演会の大阪公演である。

独演会は来週に予定している鹿児島公演しかり、普段あまり足を運べない場所を優先的にやっている。真冬の鳥取公演での帰り、豪雪で電車が止まり身動きがとれなくなったのも、なかなか普段は経験できない「ならでは」のトラブルだったし、群馬公演でキレちゃって、酔っ払いで騒ぐお客さんを返したのも、前回の富山公演のまさかの大事件も、今となってはいい思い出なのです。ボク自身、そして周りのスタッフさんも、そんなのを面白がったりするもんだからタチが悪い。

本日は漫才で明日の舞台である京橋花月に立ち、袖から出ていく時や、センターマイクに声をぶつけている時も、やっぱり明日のことをイメージしまった。劇場を出る時に、19歳の頃のボクのことを知ってくれている人達もいて、「明日観にいきます」だとさ。成長を観てもられるかな、嬉しいな。とにかく楽しみだ。

神様という奴がいるとしたら、そいつはなかなか残酷で、放っておいたら面白くも何ともない世の中だ。だからあの人は一生懸命郵便を配達するし、だからあの人は汗を流して今日もバットを振るし、だからあの人は大きな声を張り上げて教鞭をふるうし、だからあの人は地獄のように熱い厨房でフライパンを返すし、だからあの人は悲しいことがあってもステージに立つし、だからあの人は毎日満員電車に揺られるし、だからあの人はたとえイジメられていても、土俵際で踏ん張って生きている。

それは皆がどこかで笑おうとしてるから。「笑っている瞬間は救われる。笑っている瞬間は素晴らしい世の中だ」ということを知っているから。皆が笑おうとしているということは、それはやっぱり本当に素晴らしいことだと思う。お笑い芸人の仕事は、「笑おうとしている人の後押し」であって、それ以上でもそれ以下でもない。たいした仕事じゃないよ。間違っても威張れる仕事じゃない。チャンネルを合わせてくれないと、舞台に足を運んでもらえないと…つまり、皆が笑おうとしてくれないと、ボク達は存在できないんだ。

毎日悔しいことや、悲しいことがいっぱいある。だけどね、ボクはどのライブであろうと、舞台の上から客席を見渡した時に、生まれも育ちも違う見ず知らずの老若男女、良い子、悪い子、普通の子、モテる奴、モテない奴が、ゴチャ混ぜになって、そしてその人達が「笑おう」という一つのゴールに向かっている奇跡を観た時に、世の中捨てたもんじゃないなぁ、と思えて、少しでも気を抜けば泣きそうになるんだよ。明日もそんな奇跡を起こしましょう。

それでは『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』、まもなく開演です。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月18日 (火)

クネクネの正体

ボクは自分のお爺ちゃんに会ったことがない。父方のお爺ちゃんも母方のお爺ちゃんもボクが産まれるずっと前にお釈迦さんになられたのだ。そんなわけで今思うと、身近におじいちゃんがいなかったというのもあり、ボクは子供の頃より、世間一般で「おじいちゃん」とよばれる人の事をえらく俯瞰で見ていたと思う。

幼稚園時分の話なので、集まりの目的が何だったかは今となっては覚えてはいないが、地元の自治会館で子供らとたくさんの大人が一堂に会しての宴がおこなわれた。ボクは幼馴染のサトシくんと、普段はなかなか飲む機会のないスプライトの1.5ℓのペットボトルをコッソリ1本拝借して、他の子にバレないように2人だけで飲みきってやろうと、会館の隅でコソコソと炭酸飲料に胸を躍らせていた。

大人の人達はお酒を呑んでいて、その中には「お爺ちゃん」とよばれる年齢の人もいた。髪の毛が真っ白だったりするし、ボクは「お爺ちゃん」がとにかく不思議で、見つけるやいなや、せっかくのスプライトそっちのけで、「お爺ちゃん」の一挙手一投足に心奪われていた。

とにかく夢中になったのは「おじいちゃん」のモノの持ち方である。磁石で吸いついているのでは、と思うぐらいのソフトタッチでモノを持っている。日本酒の「とっくり」なんかは、親指と中指の2本しか使わない。なみなみと注がれたスプライトのコップを両手で持っている自分とはまったく違ったのだ。子供ながらにその「お爺ちゃん」の手に色気を感じて、その日からその持ち方を真似るようになった。

今ではそれがすっかりクセになり、モノを持つ時はだいたい親指と人差し指、もしくは親指と中指という、2本しか使わない。つけくわえて元来兼ね備えていた関節の弱弱しさも手伝って、だいたい手首が幽霊のように内側に折れている。漫画『デスノート』に出てくる人気キャラクター「L」が、携帯電話をそのように持っていて、それを見つけた瞬間に顔の血の気がひき、暗雲たちこめた。案の定、芸人達にイジられ始める始末。糞ライブ『ろくでもない夜』では、その企画が立ちあげられ、「L」を多分に意識している「N」として、十分すぎる恥ずかしめを受けたのだ。その時も「自分が元祖だ」と言い張ったが、元祖は自分でも、「L」でもなく、「おじいちゃん」なのだ。

とにかく手首が内側に折れて、力強さの欠片もないヘニョヘニョ。腕時計をしないのは、何かしらの信念を貫いているわけでは決してなくて、ただただ我が手首が女の子のように細く、男性モノの腕時計だとスカスカになってしまうからなのである。さらには、猫背で、O脚で、首が前に出ている。周りからは「エヴァンゲリオン」と形容されるが、エヴァンゲリオンほど細マッチョか、といえば、そうでもない。筋肉に愛想をつかされた身体。どういうわけか、スタイリストさんや、grandcanyonのデザイナーさんはこのクネクネボディーを面白がってくれるが、風呂上りに鏡にチラッと映る身体には毎度タメ息がこぼれるのである。

そして、このクネクネボディーの中でも、ひと際そのクネクネぶりを遺憾なく発揮している奴がいる。

陰毛である。

さて、長くなりました。今日の本題はこの「陰毛」についてであります。これは男性諸君の間で太古の昔より議論が続けられてきた問題であり、今さら取り上げることでもないのだが、今回の実験により、議論が次の展開に進められるやもしれない事柄なので、今日ここに。

陰毛が落ちている場所についてである。

テーブルの上なんかはもはや珍しくもなく、冷蔵庫の上、はたまたポットの蓋の上にも寝そべっているケースも。もちろん、テーブルや、冷蔵庫や、ポットの上に立ち、パンツを脱いだことなど一度もない。だが、陰毛は確かにそこにいるのだ。

コレについては諸説ある。脱衣所に落ちた陰毛が夜な夜なしゃくとり虫のごとく移動をしている説。だから容姿がクネクネしているという見解。ほかには、夜な夜な陰毛の妖精がやってきて、陰毛を部屋にバラまいている節。しかし、これに関してはその妖精が働くメリットが不透明なので、かなり見込みの薄い仮説だ。こういったクネクネとヒネくれた説はこの際一度捨ててしまって、もう少し信憑性のある仮説をたててみよう。

キッチンの床にも陰毛が落ちている。その件に関しては、脱衣所に落ちていた陰毛が足の裏にくっついて運ばれた、と考えられないこともないが、問題はテーブルの上や、冷蔵庫の上といった、下半身以上ある高さのところに陰毛が落ちているところにある。そこで考えた。

「ワキ毛説」である。

見れば、陰毛とワキ毛はうり二つ。抜けた陰毛はパンツにくっついていたりするので、「陰毛が抜けた」ということを日常生活で経験することは多々あるが、「ワキ毛が抜けた」場面というに我々は直面したことがない。しかし、当たり前だがワキ毛も日々生えかわっているのだ。その実感がないせいで、我々は床に落ちている毛を「抜けたクネクネの毛=陰毛」と決めつけてしまいがち。

生活習慣が状況判断を盲目にさせてしまう恐ろしいケースである。小学校時代からの親友である阿倍くんは、その昔、外国人留学生から日本の遊びを求められ、「10回クイズ」を出し、「ピザ」を10回言わせた後に、自分のヒジを差し「ここは?」と言ってみたらば、「エルボー」と即答されてしまったのだ。そりゃそうだ。咄嗟に出る言葉は母国語なわけである。長年、日本人ばかりを相手してきたばかりに陥ったミスだ。ボク達が見てきたものだけが正解とは限らないのだ。

「ワキ毛」と疑ってかかることも必要だということだ。しかし、本当に全てが陰毛かもしれない。そこで、今回一つの実験を考えた。一度、家中を徹底的に掃除して、コロコロもして、埃ひとつない状態にし、そしてワキ毛を剃るのだ。

その翌日から落ちているクネクネの毛、それはまぎれもなく全て「陰毛」ということになる。床に落ちている分に関してはニンマリと微笑んでやればいいし、もし、もしもそれでも、冷蔵庫の上なんぞにクネクネの毛が落ちていたらば、我々はいよいよ陰毛の妖精の存在を認めなければいけなくなるだろう。

そんなわけで、ワキ毛を剃ろうかと考えているのだが、いかんせん夏の間は薄着になる機会が多く、ワキを見られる機会も少なくない。その時にワキ毛が無くて、「アイツ、ムダ毛の処理してやがるぜ」と思われるのも癪なので、この実験はもう少し涼しくなってからしようと思う。

さて、ボクは一足早く大阪に入る。独演会の大阪公演、まもなくでございます。

背筋を伸ばしていこうと思います。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月17日 (月)

奥さん、ライブですよ

朝から作業部屋ZipMotorsにこもり、あれやこれや作る。絵本制作はどれだけ時間をかけてもまったく変わらないスケッチブックに苛立ち、破ってやろうかと思ったりするぐらい、夕方には頭がおかしくなっていた。「う~あ~う~あ~」と言いながら、頭を掻き毟って、ペンを走らせて、そして発狂。なかなか苦しい時期に突入した感じだ。完成はいつになるやら。

うってかわって、漫才作りは楽しい。今月31日にある『Made in KingKong』の新ネタつくり。ここでやる漫才は毎回少し実験的なネタにしようと思っていて、前回作ったのが、最近の中では自分的にはバカバカしさ大ヒットで、そのネタの残像があるから、なかなか納得のいくものが書けず、今のところボツネタばかりが溜まっていっている。だけど、それも悪くない。芸人とて至極真っ当な時間の使い方だ。どうしてもやりたい、くだらないツカミネタを書いたので、とりあえずそれだけは梶原に送った。スベッたらゴメン。

さて、『ライブの夏』、そろそろ後半戦がスタートする。まずは19日に京橋花月である『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』である。ボクはライブが好きで、基本的にライブが近づくといつもドキドキするんだけれど、どういうわけかこのライブは特にドキドキする。それは緊張の類ではなくて、適切な言葉が見つからないけれど、とにかくもう、ひたすら楽しみなのです。楽しみしかないのです。大阪という街がそうさせているのかも。

23日~26日までの九州遠征も楽しみ。長崎では『KING KONG LIVE』、鹿児島では『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』、まだ逢ったことのない、いろんな人に逢える。

例えばあなたが毎日生きていて、落ち込むことがなかったとしたら、それは本当に落ち込んだ方がいい。勝負に出ていないということ。勝負にはそれぐらい「負け」というのはつきものだ。

その瞬間に言葉が出てこなくて悔やんだり、やけに心地よい言葉が出てきて心の中でニンマリしたり、ライブはそんな取り返しのつかない毎秒の勝負の積み重ねの垂れ流し。それがわかりやすくて、男の子らしくて好きなのだ。

そうやってライブにうつつをぬかしていたら、和田竜さんのコラムの挿絵の締切が明日だということに今気がついて、泣きそうになっている。

とりあえず今からジョギングに出る。その間に『Made in KingKong』の新ネタを思いつこう。おかしな日本語だ。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月16日 (日)

ボクの夏休み

20歳の頃から毎週金曜日と土曜日のスケジュールは決まっている。『はねるのトびら』の収録日である。そんな『はねるのトびら』の収録も今週は夏休み。ギリギリまでスケジュールを事務所側に渡さない番組側のナイスな仕事のおかげで、事務所も対応できず、メンバーそれぞれが夏休みに入る。地元に帰る奴や、南の国に行く奴、休みの過ごし方はそれぞれ。

そして休みの使い方がヘタクソなボクである。連休を頂いたものの、どう使ってよいのやら悩んでいたら、金曜日はスピードワゴンの小沢さんに誘われ、東京ダイナマイトさん主催のお笑いフェスにいくことになった。

昼過ぎまで我が作業部屋ZipMotorsにこもり制作活動。時間が来たのでタクシーに飛び乗り、野外音楽堂の入口で小沢さんと待ち合わせ。楽屋に挨拶に行き、客席にまわり、ビールを買って、2人並んでチョコンと座った。土田晃之さんの開会宣言に胸の高鳴りを覚えて、小島よしおさんや、長州小力さんにゲラゲラ笑わされて、サンドウィッチマンさんや、東京ダイナマイトさんにドキドキときめいた。途中、小沢さんも出番で席を立たれたので、ボクは1人で観ていたけど、2歳にもならない子供が寄ってきて、どういうわけかちょっかいの対象に選んでいただき、気がついたらその2歳にもならない子供と仲良くなって、結局2人で並んでお笑い観戦する仲に。その子が東京ダイナマイト松田さんの息子さんだと知ったのは、もう少し後の話。

夜はライブに出てもいないのに、打ち上げに参加させていただくことになった。「吉本以外」というのがコンセプトにあったので、もちろん打ち上げの席には吉本芸人は一人もおらず。「上等だぜ」と鼻息荒くして臨んだ打ち上げも、緊張緊張で、結局小沢さんの隣を離れないボク。だけど芸人さんに囲まれて楽しかった。帰り際にハチミツ二郎さんが来てくれて、本まで頂いた。今から読むのが楽しみだ。お笑いに囲まれた、そんな金曜日。

そして土曜日である。どう過ごそうか考えた挙句、土曜日は『爆笑オンエアバトル』の収録日だということを思い出し、呑み仲間であるNHKの丸林さんにワガママを言って、番組見学させてもらうことに。前日と同じように昼過ぎまで作業して、そしてスタジオに向かった。芸人さんにも、お客さんにも余計な気を使わせたくないので、舞台の下手袖からコッソリ観させていただいた。皆、面白くて、カッチョ良かった。そしてスタッフさんもとても優しくて、プロデューサーさんや作家さんに話しかけられたけど、またしても緊張して、どう振舞ったらいいのかわからず頭ガシャガシャしていた。気持ちの悪い奴だと思われたかもしれない。

番組見学終わりは出演されていた井上マーさんと、NHKの丸林さん。NSCで同期で今はスタッフとして頑張っている西岡くんと、酔っぱらった勢いで誘った堤下(先輩)とNONSTYLE石田というゴチャゴチャのメンバーで呑んだ。劇場の楽屋で挨拶を返さない先輩芸人に対し、「人を楽しませる職業に就いていて、そんなのはクソだ!」と叫ぶボクもいて、「あれはシャイだ!」とおさめようとする人もして、どういう流れか最後は「皆で売れよう!」という話になっていた。お笑いが好きで好きでたまらない輩に囲まれ、とても幸せな時間。お笑いが好きだし、お笑いが好きな人が好きだ。そんな土曜日。

夜が明けて、我が家のリビングでは西岡君が汚い腹を出して、だらしないイビキをかいて、酔い潰れて眠っている。これが女の子だったら、イヤラシイことをしていたのに。楽しい夏休みの最後の景色がコレか。それにしてもコイツ、今日の仕事は大丈夫か?寝坊しているのか?ずいぶん前に携帯のアラームが鳴っていたし、たぶん寝坊している。

面白そうだし、起こさないでおこう。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月15日 (土)

移動図書館ムスタング

ボクの愛車はマスタング。1964年生まれのオンボロ。車好きの中には「マス」を「ムス」と発音する人も多く、「ムスタング」と呼ばれることも。しかし慣れないことはするもんじゃない。根っからのカッコつけのボクには、車好きをアピールしようとして、「マス」を「ムス」に変換することばかりに頭がいき、雑誌のインタビューで「乗っている車は?」と訊かれ、「ムスタングに乗ってむす」と言ってしまった拭いきれない地獄の歴史がある。

「暴れ馬」をイメージして世に生をうけたムスタングだが、日本の東京ではもれなく信号に引っ掛かり、付け加えて稀代の安全運転チキンハートドライバーが主人となったせいで、走りに関してはその「暴れ馬」ぶりはすっかり影を潜めているが、しかし車内では「暴れ馬」を遺憾なく発揮している。冷房が2段階しかないバカなのだ。

そんなやつに「ちょうどええ感じの室温」を求めるのは酷な話で、こと夏場に関して言えば、冷房をつければ寒いし、切れば暑い。「居心地がいい」とは言い難い空間ではあるが、それでも楽屋でくつろぐのが苦手なボクは、ここ最近はルミネの漫才出番が終わると、真っ先にマスタングに駆け込む。そんなところで何をするのか?

読書である。

子供の頃より、親から「本を読みなさい」と言われ続けてきたせいで、「本なんて一生読むものか!」と反逆の人生をおくってきたが、あることがキッカケでこの夏は本を読むことにした。「8月中に50冊読む!」と心に誓ったが、今まで本を読んだ経験が10冊にも満たないボクは、とにかく読むペースが遅い。一ヶ月で50冊なんてとんでもなく、早くも挫折して、そこからは自分のペースでのらりくらりと読んでいる。

「百夜行」「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」「チルドレン」「トリガー」「夜は短し歩けよ乙女」「有頂天家族」「悪魔のドライブ」

今月、今のところはこの10冊を読破。森見登美彦さんの「狸であったらだめですか?」という台詞には声を出して笑い、京都が愛おしくなり、伊坂幸太郎さんの描くギャングに憧れて、自分の特殊能力を探したりもする。「ロッキー」を観た帰り道にシャドーボクシングをするあの感じだ。ムカついて始めた読書だが、いまやすっぽりハマっている。

暴れ馬の冷房をつけたり切ったりしながら、今日も読書。そして9月に入れば日本列島ドンガラガッシャン大作戦第2弾の制作を再開させる予定。それまでは、この移動図書館にお世話になりむす。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月14日 (金)

スットコドイな人達 ①

高校卒業と同時に飛び込んだこの世界。それからというもの、常軌を逸した変態に振り回される毎日をおくっている。今日紹介するのは、その変態の代表格。

ベッキーである。

彼女のTVでのパーフェクトぶりは国民全員が知っているところで、もはや説明の必要もないが、彼女のスゴイところはTVだけに収まらず、日常生活から人を楽しませる天才エンターテイナーなのだ。「オチ」の前にはキチンと自分で「フリ」を作る、彼女にしてみればそんなのは朝飯前なのだ。

当時、彼女と一緒にレギュラーでやらせていただいていた『たべごろマンマ』という番組での出来事だ。

移動のロケバスは長く、彼女とボクはいつも一番後ろの席で、他愛ないお喋りをしていた。ある時、彼女がえらく深刻な顔でこんなことを言ってきた。「この前、自分の泣き声で目が覚めたんです。最近見る夢も、自分の大切な人が離れていってしまう内容ばかりなんです」

珍しく、ネガティブな話を持ち出してきた彼女。心配になったボクは、「なんか不幸な事が起こる前触れなんちゃう?」と言ってみたら、彼女はニッと笑い、急にイタズラな顔をして、「と、思うでしょ?西野さん。違うんです!泣き声で目が覚めたり、大切な人が離れていく夢というのは、調べたら、『運気上昇の合図』なんですって。私、今日からいい事が起こるらしいですよっ!」

暗い話題かと思いきや、とても楽しい話題。一度落しておいて上げる。それは、ハッピーサプライズが大好きな彼女らしいニクイ演出であった。ロケバスはとても幸せな空気に包まれたのであった。

その5分後だ。

彼女の携帯電話が鳴った。母親かららしい。「もぴもぴ~」と明るく電話に出た彼女の顔がみるみる雲っていく。声のトーンも落ちるところまで落ちて、最後にはほとんど聞こえなくなり、彼女は静かに電話を切って、黙ってうつむいた。「どうしたの?」とボクが訊ねれば、彼女は地獄のような声で言った。

「愛車のガラスがバリバリに割られて、カーナビがゴッソリ盗まれました…」

なんて奴だ!『運気上昇の合図』とやらはどうした!?徹底的な車上荒らしに遭っているではないか。とはいうものの、これは事件だ。人の失敗を笑うのが大好きなボクも、今回ばかりはそうもいかない。何と声をかけてやるべきか、と悩んでいたら、さすがスーパーポジテイブシンキング娘ベッキーである。周りに心配などさせやしない。曇った顔を一気に消し去り、ひまわりのような表情で言った。「私、そういえば、こんな話を聞いたことがあります。自分の大切にしているモノが壊れた時というのは、モノが自分の『身代わり』になってくれたのだと。だから、本当は私がケガしていたかもしれなかったところを、今回は愛車が身代わりになって私を守ってくれたんです!」

自分に娘がいたらこの子のように育って欲しい。ボクは心から思ったのだ。そして、ベッキーの言うように愛車が身代わりになってくれたのだとしたら、今回は確かに不幸な目には遭ったが、とにもかくにも彼女の身が無事で、それがなによりだ。彼女のおかげで再び幸せな空気に包まれたバスはロケ地に到着。まもなくロケがスタート。そつが無い彼女の進行のおかげで、ゲストの方ものびのびと話をしておられた。

その時だった。

「ひゃっ」という小さな声が隣から聞こえた。それは、隣に立っていたボクにしか聞こえない小さな声で、誰も気がついていなかったが、声の主はベッキーだった。彼女は腕をおさえ、顔の血は引き、汗が噴き出している。カメラがまだ回っていたので、他の人にバレないように小さな声で、「どうしたの?」とボクが訊ねれば、彼女は涙まじりの虫の声で言った。

「ハチに刺されました…」

天才じゃないか!『身代わり』とやらはどうした!?しっかりと己の身が傷ついているぞ。彼女の身体を刺したのはクマンバチという強烈な蜂で、カメラが止まるやいなや、急いで病院に搬送されていったのである。病院に搬送されていく彼女の後ろ姿を見て、ボクは涙が止まらなかったのだ。

「フリ」も「オチ」も1人でやってのけ、身体をはって、とことん周りを楽しませてくれる愛しい彼女。

海に潜って食材を取るロケの日のことである。ウエットスーツを着るよう命じられたが、ウエットスーツを着たことがないもんで、なかなか苦戦していた我々キングコング。そこへ助けにきてくれたのがベッキーである。彼女はサーフィンもしていて、ウエットスーツはお手のもの。見事な手さばきでオッサン2人にウエットスーツを着させてくれたのだ。その心強さに、海に弱い我々キングコングは次々に質問をぶつける。「溺れそうになったら、どうしたらいいの?」

「ウエットスーツ自体に浮力がありますから、ジタバタせず、身体の力を抜いてジッとしていた方が賢明でしょうね。ジタバタすることで冷静さを失い、沈んでしまうケースがあります」

バラエティーの修羅場を勝ち抜いてきた彼女らしい、簡潔でわかりやすいアドバイス。もう一生この子についていこう、とキングコングは心に誓ったのだ。そしてロケスタート。最初に船から海に飛び込んだのは経験者のベッキー。…どういうわけか、飛び込んだ際に足がつったらしい。

このあと彼女がどういう行動に出たかは皆さんお察しのとおり。

バシャバシャと荒々しく水をかく音と、「ヘルプッ!」という声が日本海に響いたのであります。

あなたを愛しています。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月13日 (木)

泥だらけの夏

声がまったく出ない。この4日間で、『ろくでもない唄』『真夏のときめき☆歌謡ショー』というライブが2本に、AGEAGEライブというライブのMC、漫才出番が9本…そりゃそーだ、のスケジュール。その前も『はねるのトびら』があったり、大谷さんと2人のライブ(結局3時間のライブ)があったり、『正直しんどい』の2日ロケがあったりで、少しずつ疲れがたまっていたのかもしれない。しかしながら明日の『音楽戦士』の収録さえ乗り切れば、翌日、翌々日の『はねるのトびら』は夏休み。ムフフの連休である。とりあえず明日だ。頼む!踏ん張れ!喉!

とはいっても、べつだん、過密スケジュールというわけでもない。それで言えば、今、「若手」と言われている人達なんか、ボクの何倍も働いている。ボクが勝手に忙しくなっているだけの話。理由は、仕事終わりや仕事合間の作業。キチンと睡眠をとれば喉の負担も軽減されるが、制作物は一日でも早く世に出したいのである。手元にあり続けることがストレス。だからと言って、一生残るモノには1ミリも妥協はしたくないし。結果、削る時間は睡眠時間しかなくなるわけだ。

それで言えば、漫才作りが一番ストレスを感じない。作ったらすぐに発表できる場があるからだ。そういう点では吉本興業に感謝である。個人的に今一番ハマっているのは、『Made in KingKong』のネタ作り。このライブはゲストを招いてお喋りしたりゲームをしたりと、アットホームなライブであるが、毎回ライブのオープニングで新ネタを一本おろすことにしている。その新ネタというのも、例えばM-1とかに持っていくような形の漫才ではなく、漫才の外枠から作っていくものであったりして、それがまぁ、自分的には新鮮なのであります。大スベリする可能性もおおいにありますが。今月の『Made in KingKong』は31日。ゲストはレギュラーさんとマキシマムパーパーサムのお二組。そろそろネタを作ろうかしら。

連休明けは大阪へ。いよいよ『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』であります。

つまづいたり、転んだり、壁にぶつかったり、あまりスマートとはいえませんが、どうにかこうにかモノを作りながら少しずつ前に進んでおります。この不格好な様が、ついでに誰かの支えになっていたら、それは表現者として、なお嬉しいことです。

あつい夏はまだまだ続きます。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月12日 (水)

ほぼ1万円強盗事件

仕事の空き時間に、コンビニに入った。入口に並べられたスポーツ紙は相変わらず覚醒剤のあの事件。「残された子供が不憫でなりません」と言いながら報道を続ける矛盾ったらないなぁ、なんて思いながら、野菜ジュースを手に取ってレジに向かう。

「108エン、二、ナリマス」

あきらかに留学生であろうコンビニの店員さんに、千円札が欲しかったボクは1万円札と端数の8円を出したところ、留学生の店員さんは笑顔で、「チョウド、イタダキマース」

ん?

その破壊力抜群のどんぶり勘定に圧倒され、間違ってるのはコチラなのか?と、2~3秒ほど考え、身動きがとれなくなる。レジに消えていく福沢諭吉氏の物悲しそうな表情に、ハッとして、かけられた魔法を振り払うように首をブンブンと横に振った。これは違うぞ。

「すみません、お釣りをいただけないでしょうか?」

「オツリ?」留学生の店員さんがそう言った時には、すでに福沢諭吉氏はレジに閉じ込められていた。しかしこんなことで気持ちが折れるボクではない。芸能界の荒波に揉まれ続けてきた男の強さをみせてやろうと、「108円のところを、1万8円出したので、つまり、9900円をボクに下さい」と懇切丁寧に説明したところ、

「ナンデデスカ?」

完全に相手のペースである。これ以上、時間を費やすと福沢諭吉氏が帰ってきてくれないような気がしたので、短期決戦に臨む。「日本語が話せる方と代わっていただけませんか?」と言ってみた。日本に留学して、カタコトとはいえ、一生懸命日本語を勉強して話している方に対して、それは本当に無礼な言葉だったが、場合が場合だ。しかたあるまい。そして、レジの奥に顔を向けた留学生の店員さん。次の瞬間、その店員さんの口から出た言葉にボクは耳を疑った。

「テンチョー。コノヒト、ガ、『9900円、ヲ、クダサイ』ト、イッテマース」

もちろん周りにいた他のお客さんの視線が一気にボクに集中したのは言うまでもない。「どうしてアイツはコンビニで9900円をもらおうとしているのだ?」そんな心の声が爆音で聞こえてくる。訝しげな表情で近寄ってくる店長さん。

留学生店員さんの見事な計らいで、ボクは『コンビニエンスストアーに9900円をもらいに来た男』になってしまったのである。そして、そういう行動をする人のことを世間では、『強盗』とよぶのだ。ちょうどマスクもしていた。

近寄ってきた店長さんに、とりあえず誤解を解こうと、マスクを取ったら、キングコング西野だということがバレて、「どうしてあなたがこんなことを!?」という顔を一瞬だけされましたが、落ち着いて説明したところ、お釣りが無事に返ってきましたとさ。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月11日 (火)

汗ばんだTシャツに膨らむ夢と股間

ヘトヘトである。とはいうものの、テメェが趣味の延長で勝手にやっているライブなので、その責任は完全に自分にあるのだが。磁石のようにベッドから離れない身体、老婆のような声。原因は連日のライブ。

『ろくでもない唄』と『真夏のときめき☆歌謡ショー』が終わった。いずれも、昼間は普通にキングコングとしての仕事があるもんだから、ずっと動きっぱなし、叫びっぱなしの2日間だった。

『ろくでもない唄』は楽しい。芸人さんが真剣に遊んでいる場面というのもなかなか珍しく、出番前のピリついた芸人の姿を見て、やっぱり微笑ましくなる。ツッコミどころ満載なのだ。ライブの最後は暴動のようになった。興奮した房野くんは歯グキから血を流していた。ボクと同じようにアザをたくさん作った人も少なくないはず。

会場にはお父さんに肩車された子供の姿もあったし、この上なくパンキッシュな風貌の女の子は「NHKの食堂で働いている」と言うし、暴れちらしていた男の子は「大阪から来た」と言う。とにかくお客さんが愛おしくてたまらなかった。本当は抱きついて押し倒したかったけど、きっとそれはいけない事だから我慢した。

『真夏のときめき☆歌謡ショー』は前日とうって変わって、平和な時間が流れていた。が、刺激的。堤下(先輩)と互いに1時間ずつ受け持った。出番順はジャンケンで決めた。ボクは負けたから後になって、最初の1時間は客として楽しませてもらった。

そしてやってきたボクの出番。いろいろな事をお客さんにぶつけた中で、このライブでは特別に『Dr.インクの星空キネマ』のサイドストーリーをお話させてもらった。『ヤクとヤヨイの千年物語』という仮タイトルがついたこのお話は、サイドストーリーとは名ばかりで、『Dr.インクの星空キネマ』を構成する上でなくてはならないお話。同作の第3部の続きを描いた、ハッピーエンドストーリー。お客さんは声を出して泣いていた。

「本にして」という声がたくさんあがったが、今は別の作品でボクの手は奪われていて、どうにもこうにも。それこそ、昨日書いた絵本作りの仲間がいれば、すぐにでも取り掛かりたいところだが。一緒に作ってくれる仲間を探すのは相当大変そうだ。熱量もそうだが、それ以前に、まず「描ける人」じゃなきゃいけないし。

声を出して泣いていたお客さんは5分後にはゲラゲラ笑って、まったくもって情緒不安定ライブとなった。最後は堤下(先輩)と2人でフザけ倒して終わった。そして酒呑んで倒れた。

例えばあなたが、仕事が思うようにいかなかったり、大切な人をなくしたり、イジメられたり、好きな子にフラれたり、そうやって肩を落としてボクのところにやってきた時に、それでもいつだって笑い飛ばせるように、ボクは毎日楽しいモノを作り続けていたいと思います。あなたがいつ来ても大丈夫なように、毎日。そうやって一緒にお爺ちゃんお婆ちゃんになりたい。

来週はとうとう独演会大阪公演。とにかく喉の調子を整えて、ちゃんと声を届けたい。

ボクは頑張ります。あなたも頑張って。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月10日 (月)

社長宣言

昨日のブログの調子は完全におかしかった。やけに大きな字になったり、文章が消えたり。どうしたもんか?この記事もそうならない事を願う。そして、きっと今頃は『ろくでもない唄』の打ち上げの最中。そんなわけでこの文章は昨日書いておいたもの。ちなみに明日(10日)は堤下(先輩)とのゴミライブ『真夏のときめき☆歌謡ショー』がある。『ろくでもない唄』の翌日ということもあり、ちゃんと声が出ているのか怪しいところだ。このライブで『Dr.インクの星空キネマ』の続きのお話をしようと思っているので、ライブに来られるかたは是非、絵本を読んでから来ていただきたい。ボクからのお願いです。それでは今日の本題へ。

絵本第2弾となる『Zip&Candy』の制作を始めて、かれこれ8か月になる。

制作といってもストーリーはすでに出来上がっているので、虚心坦懐にひたすら挿絵だけを描く描く、そして描く。『Zip&Candy』のストーリーは去年の12月のある日、一晩で書いた。どうか、やっつけ仕事と思わないでいただきたい。ズババンと雷のごとく話の最初から最後までが一瞬で浮かんでくる時というのが稀にあったりするのだ。そして、その次の日から挿絵の作業にとりかかった。その時すでに文章はできているし、ページの振り分け、挿絵のおおまかな構図も台本に書かれている。

あとは、それこそ本当に「作業」なのだ。台本を一晩で書き上げて、挿絵に数年。ここに異常なストレスを感じる。ストーリーはすでに出来上がっているのに、世に出るのは数年後ということや、数年間かけての挿絵を描いている間に次のお話を思いついてしまったり、そして、「挿絵を描く」という作業に時間を奪われ、0から1を産むということに時間をまわせないことへの苛立ち。

ボクにはやりたいことがたくさんある。産み出したいものがたくさんある。漫才やコメディー、それこそ小説もありうる。構想ばかりが頭に溜まっていって、それをカタチにするということにまったく追いついていかない。そういうわけで、今回の『Zip&Candy』という作品をもって、絵本からは足を洗おうかと考えていた。

だけど、どうだ?自分がこの先考えたお話のアウトプットの方法が絵本が一番適している場合というのが無きしもあらず。だけど、そこでまた絵本制作を始めてしまうと、また他の制作物に手がまわせなくなる。

そこで考えた。

ボクの考えたお話の挿絵を専門に描いてくれる人を探そう。その人と一緒に絵本を作ろう。

ボクの役割はストーリーを考えて絵コンテを描くこと。そしてその絵コンテをお渡しして、絵を描いてもらう。これなら、その人が挿絵を描いている時間を使って、ボクは次のお話を考えられる。0から1を産むことに、より時間を費やせる。

これはずっと思っていることなんだけど、「誰がこの作品を作ったか?」ということは、ボクにとっては本当にどうだっていいことなんだ。そんなのは、わかりやすくする為の記号でしかない。大事なのは「なければいけない作品を世の中に産み落とす」ということ。何度だって言うが、『Dr.インクの星空キネマ』という作品は、タモリさんと話し合い「世の中になきゃいけない絵本を作る」という問題意識をもって作った。ああいう絵本がすでに世の中にあったら、タモリさんともそんな話になっていなかったし、ボクは絵本なんて描いちゃいない。そしてボクの頭の中には今、世の中になきゃいけない絵本の構想が2つほどあるのだ。

…話が少しそれました。挿絵を描いてくれる人の話に戻しましょう。

挿絵を描いて生活できるだけの給料をボクがその人に払う。ボクを含め、2人か3人の絵本作りの会社。なんだか楽しそうだ。

しかし、しかしである。「どこの馬の骨かもわからないお笑い芸人が書いている絵本の挿絵を描く」というバカな人生を選択してくれるブッ飛んだ絵描きさんがこの世に存在するだろうか?一緒にモノを作るなら、やっぱり強制じゃなく、お金でもなく、本当に自分のやっていることを好きでいてくれる人の方がやっぱり嬉しい。その為にはボク自身が描く絵本の信用度をあげなければいけない。ボクと一緒に作品を作りたいと思ってもらわないとね。

とりあえず、『Zip&Candy』は1人で最後まで作ろう。そして、『Dr.インクの星空キネマ』と合わせて、そんな方向性の絵本の第3弾を一緒に作りたいと思ってくれる大バカ野郎の存在を待つ事にしましょう。

近い将来、立ち上げる絵本会社に想いを馳せながら。

会社名は『ZipMotors』なんてどうだろう?

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 9日 (日)

身の回りを少し楽しくする魔法

玄関で靴を脱いでいる時、傘立てに刺さった1本の傘が目に入ってきました。舞台『ダイヤル38』の小道具として購入したなんでもない黒い傘。他と違うのは、この傘、雨に濡れたことが一度もない。雨が降らない舞台で使用されたっきり、プライベートで肝心な時にいつも手元にいないのだ。昨日の夕立なんて活躍の場であったろうに、この傘ときたら大人しく玄関にいたわけだ。この傘が役に立つ日などくるのだろうか、とボクはしげしげと傘を眺めたのでありました。

ところで皆さんは世界がどの順序で出来あがっていったのかを考えたことはありますか?

噂では、隕石の衝突で爆発を繰り返し、雲ができて雨が降って……と聞きますが、日常からあまりにも離れすぎていて、いまいちピンときません。

では逆に、皆さんの日常に密着しているモノ、例えば『傘』。傘が世界の始まりだったらどうでしょう?

中央部分を持ち、ワンタッチで、瞬時にして屋根が広がる素敵な道具を作りました。

アダムはこの道具に『傘』という名前をつけました。

アダムはさっそくイヴに見せましたが、喜んでもらえるどころか、イヴは手に取ろう

しませんでした。イヴは言いました、「コレは一体何に使うものなんだい?」

―なるほど、使い道さえ作ればいいのか。

アダムは傘の使い道を考えました。手さげバッグのように使ってみましたが、モノは

落ちる、すれ違う時にぶつかる、で踏んだり蹴ったり。

そんなある時、アダムの頭上にイガグリが落ちてきました。だけどアダムは傘をさし

ていたのでイガグリから頭を守ることができました。「こいつはいい!」

アダムは傘の使い道を作る為に空からモノを降らせようと考えました。だけど、ソレ

をイガグリにしてしまうと地上に落ちた後、踏んでしまっては大変です。なので地上

に落ちた後も安全なモノにしようと、水を降らせることにしました。

アダムは空から降らせる水に、『雨』という名前をつけました。

こうして世界に雨が降りました。

雨をたくさん降らせたおかげで、世界の外れには大きな大きな水たまりができまし

アダムはこの大きな大きな水たまりに、『海』という名前をつけました。

こうして世界に海ができました。

しばらくすると海からたくさんの生き物が生まれました。『プランクトン』に『ヒト

』に『クジラ』、アダムはそれぞれに名前をつけていきました。その中にアダムが

『クラゲ』と名前をつけた生き物がいました。クラゲは生まれながらにして傘を身に

けていました。不思議に思ったアダムはクラゲに訊ねました。

「ねえねえ、クラゲ君。キミはどうして傘を持っているんだい?海には雨もイガグリ

も降らないだろう?」

クラゲは答えました、「この傘は波の流れに乗ってプカプカ浮く為に使っています」

「なるほど傘にはそういう使い道もあるのかい。ありがとうクラゲ君。」

それからアダムは傘を使ってプカプカ空に浮かぼうと考え、波のように空気を流しま

した。

アダムは流れる空気に『風』という名前をつけました。

こうして世界に風が吹きました。

傘を握ったアダムとイヴは風邪に乗って空を飛びました。するとその姿を真似て、

乗って空を飛ぼうとする生き物が現れました。アダムはその生き物に『鳥』という

名前をつけました。鳥が少しやっかいなのは、空から地上に向かってウンチを落とす

事です。だけど傘があれば大丈夫、鳥のウンチも防ぐ事ができます。

アダムは地上に立ち傘をさし、鳥のウンチを待ちましたが、思ったように鳥はウンチ

を落としてきてくれません。これでは傘が使えません。

なのでウンチが落ちるまでの間に雨を降らすことにしましたが、雨が降ると今度は鳥

が空を飛んでくれませんでした。アダムは雨を降らすのを止め、鳥のウンチを待つ間

に他のモノを降らせようと考えました。

そしてアダムは強い光を降らせようと考えました。

強い光くらいなら鳥も飛んでくれるし、強い光をしのぐ為にイヴも傘を使ってくれる

だろうという算段です。

そうしてアダムは空に大きな大きな火の玉を作りました。

アダムはその大きな大きな日の玉に『太陽』という名前をつけました。

こうして世界に太陽が輝きました。

こうして一本の傘から、今の世界は生まれましたとさ。

~パラソルワールド~

…もちろん嘘です。だけど、こんなストーリーをひとつでも作ってやると、今までよりも少しだけ傘のことが愛おしくなります。自分の身の回りのモノにそうやって、すこし物語を作ってやって、愛着を湧かせてみるというのも悪いもんじゃありません。

作業に疲れて一休憩する時はいつも作業机の脇に置いあるギターをポロロンと鳴らします。とはいっても、唄はヘタだし、人の曲も弾けないので、自分で作った唄をうたいます。自分で作った唄だから、どう弾こうが唄おうが自分が正解です。音痴に落ち込むこともありません。作る唄にはまさかロマンチックな曲はなく、坂田師匠の事を想った唄や、マカロニ怪盗団という舞台に登場したキャラクターの唄といった、そういうどうしようもないモノ達ですが、それらを奏でる時に、知人からプレゼントしていただいたギターのことがより一層愛おしくなるのです。

8月9日がやってきました。今日は夏のお祭り、『ろくでもない唄』です。作業合間に作った唄が活躍する珍しい日です。

2009.08.09 新宿LOFT 『ろくでもない唄』

2009年8月 8日 (土)

嘘と夕立

ボクが童貞を捨てたのは車の中で、ボクよりもおませさんで、すでに経験があった彼女に対し、ボクはチンチンの入れ方がわからなくて、結局最後まで上手くできなくて、だけどカッコ悪いから、「今日はやっぱりやめとこう」と言って、気持が乗らないからやめた、という演出をして、惨めな気持ちになった。そういうわけで、冒頭で「童貞を捨てたのは―」と書いたけれど、厳密に言えば「捨てそこなった」のだ。そしてボクは自分が童貞だということをバレたくなくて、「たまに気持ちが乗らない時もあるんだ」というような嘘をついた。もちろん彼女にはバレていたと思う。そしてパンツの中でイッていた。彼女とバイバイした帰り道、彼女の元カレは彼女とHできていたのだと思うと、元カレに比べて自分のふがいなさに胸が締め付けられる思いだった。股間がパリパリになったパンツの感触が惨めさを助長した。

例えば水辺のロケで、芸人ならもちろん水に落ちたいところだけれど、「水に落ちてあたりまえ」という状況にしてしまうと、水に落ちた人が美味しくも何ともならないから、「水には落ちたくない」という状況にする役割が、『はねるのトびら』でボクに与えられたお仕事。「水に落ちるなんて絶対に嫌や!」と大声でアナウンスする。それは20歳の頃からずっとで、もちろんTVを観ている人の中には「芸人なら水に落ちろ」と思う人もいるわけで、当時よく頂いた手紙なんかにはよくそんなご意見が書かれていた。これだけたくさんのバラエティー番組がある今、さすがにそんなことを言う人は減ったが、もしも今、そんな事を言われても「ホント、すみません」と言って、心の中では「しめしめ」と思える。が、20歳時分は「なんでこんなこと言われなきゃいけないんだ」と毎日のように思っていた。そしてボクはそうやって落ち込んでいるところを友達とかに見られたらカッコ悪いから、友達には「狙いどうりよ」と嘘をついて、本当の気持ちはそうじゃなかったから、また虚しくなった。

自分がダメな時に平気な顔をする嘘をつく癖は昔からのようだ。そして、そんな嘘をついた時は決まって虚しくなるんだけど、それでもまたやってしまう。考えてみて、今はパッと出てこないけれど、きっと今もその癖は治っていないと思う。

収録終りの帰り道で夕立に襲われ、タクシーに飛び乗った瞬間にその当時の事を思い出した。童貞を捨てそこなった日も同じように夕立に襲われて飛び乗った車だったし、今日の収録は『はねるのトびら』だったし。

今日はお台場の湾岸スタジオまで走っていった。収録を終え、帰りは少し余裕があったので歩いて帰ることにした。夕立に襲われてタクシーに飛び乗る少し前、歩いて帰っている途中で総合演出の近藤から電話があって、レインボーブリッジを歩いて渡りながら番組の事を話しこんだ。ボクの芸人の歴史そのままだから、『はねるのトびら』には感謝している。これが無ければ今のような活動もできていない。地方ライブも制作物も。この先、ボクをどこに連れてってくれるのか、空飛ぶ円盤のようだ。

ボクは作業があるし、近藤は編集が少し残っているようだったけれど、互いの作業が早く終われば、ということで、今夜呑みに行く約束をした。かれこれ9年の付き合い。今夜ばかりは強がりの嘘はつかないでおこうと思います。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 7日 (金)

ド阿呆芸人かく語りき

ラジオ収録を終え、お台場へ向かう。東京カルチャーカルチャーというところで、ダイノジ大谷さんとのトークライブ『うるさい2人』があるのだ。

登場音が流れ、壇上に向かう際、客席に目立ったのはカップルの姿。「あそこ、面白かったね~」なんて言って、手をつないで帰るのか。彼女とお笑いライブを観にいく、なんと羨ましいことだろう。そんな事を考えながらマイクを握る。ここから喋ること3時間。

漫才のこと、吉本のこと、政治のこと、映画のこと、覚醒剤のこと、ライブで飯を食っていくこと、過大評価されている食材のこと、松屋のこと、ハッピーターンをSランクのお菓子に含むかどうかのこと、ボクが発明したタイムマシーンのこと、サイドカーのこと、Hのこと、シコシコのこと…、大谷さんはちゃんと一つ一つに考えがおありで、話を聞いていて、「なるほどなあ」と思うこともあれば、話す熱量が大きすぎて、オススメ映画の内容を全て話してしまうというスットコドイな一幕も。もちろんエピソードトークで笑いをとられたらやり返すという芸人として健全なドンパチも残しつつ。とにもかくにも普段のライブとはあきらかに一線を画す、非常にエキサイティングなトークライブとなりました。

いよいよライブの夏が幕を開けました。

あらためて8月のスケジュールを見てみますが、やはりなかなかのペースでライブがおこなわれております。寝苦しい夜、ついつい冷房に頼ってしまいますが、喉がやられてしまいます。ちゃんとケアしながら過ごさないと最後まで乗り切ることはできません。ビクビクしながらの安全運転で夏の日々を過ごしたいと思います。

明後日は『ろくでもない唄』です。先輩後輩入り乱れて乱痴気騒ぎ。ボクはボクで、どうせまた酸欠で床にブッ倒れてピクピクするのでしょう。楽しみです。

今回のライブでこんな話になった。

結果なんてそうそう簡単に出ないんだよ。とくに10代、20代なんてクソみたいにひん曲がって鬱結する毎日を過ごさなきゃいけない。ムカつくよ、まったく。なんでアイツみたいな奴が金儲けできて、SEXもできるんだ。なんで自分だけこんな目に遭わなきゃいけないんだ。でもね、だからといって、そこで他人を批評することで得意気になって、細かくガス抜きなんてしていたら、ようやく来たるべき局面でガスは抜けている、それじゃ爆発はありえないし、誰もそんなキミについてこない。人を妬んだり、羨んだり、そういったガスは溜めてこんでおくのが賢いよ。童貞万歳だぜ。

2009.08.09 新宿LOFT 『ろくでもない唄』

2009年8月 6日 (木)

GO!GO!ピクニック

アホの堂本剛と男2人旅。狙うは世界遺産。シリーズ第3弾となる今回も、ワガママそして、喧嘩喧嘩喧嘩で、あいかわらず最低な内容。とはいえ実に楽しかった2日間。放送をお楽しみに。

そんなわけで東京に帰ってまいりまして、今朝からは我が制作部屋ZipMotorsにこもり作業。セミが婚活に励むピークの時間帯も過ぎ、夕方、須藤さんの事務所に呼ばれる。ボクに逢わせたい人がいるそうな。

須藤さんから話されることをぼんやりと予想しながら、自分が今作っている絵本第2弾『Zip&Candy』に目をやる。どちらも数年がかり、何事も時間がかかるなぁ、とタメ息。しかしながら、不景気とよばれている時期にじっとモノを作る時期がかぶってくるのは、タイミングが良いという考え方も。

願わくばこまめに褒められたい。だけど、数年前のある日突然、「このままでは何も残せない」と強く思い、おもいっきりシフトチェンジ。ボクはこの選択で合っていたと思うが、梶原が少し気がかり。少なくともコツコツとモノを作る人間ではない。まぁ、そこは奴の頑張りどころか。個人的には「こんなことすれば?」という提案もあったりするのだが、そこは奴の気持ちを尊重して黙っておくことにする。そもそも、自分で気がついて動いた時の方が熱量があるし。例えば皆さんが芸人だったら、この時代をどう生きますか?正解かどうかなんて分からないけれど、とりあえずボクにはボクなりの答えがあります。今、実践していることがソレです。

この夏はとにかくインプット。絵本制作と同時に進めていた日本列島ドンガラガッシャン大作戦第2弾の制作の手を止めてまで。再開した時に自分の中での変化を見つけられたら幸せだ。一ヶ月やそこらでそこまでの変化を期待するのは甘いか?でも、欲が出てしまう。

小ズルく生きたところで、真価を問われる局面がくるたびに誤魔化さなきゃいけないのは火を見るよりあきらかで、何がこようがビクともしない人間になるには、やはり「一生懸命頑張る」ということしかない。ここが嘘をつくはずがないもの。

須藤さんに呼ばれ、事務所に足を運ぶと、大人が一人。怖そう。別の現場で一度だけお逢いしたことがあった。実は須藤さんにお預けしたボクの作品、それを世に出す為に必要となる力だ、という須藤さんの判断で、前々からコンタクトをとっていたそうな。最初は難色を示されていたみたいだが、その壁をブッ壊してくれたのは『Dr.インクの星空キネマ』。難色を示された相手に名刺代わりに須藤さんが送ったらしく、二つ返事で「協力」の意向を頂く。またしても作品に救われた。してやったり、の須藤さんがニンマリ。

お話をさせていただいて、たいへん熱のある方で嬉しくなるが、ボクはずっと下を向いていた。落ち込んでいたわけではない、緊張していたのだ。初対面の方はどうしても緊張してしまう。道中で夏祭りので店に寄って、きかんしゃトーマスのお面を買い、そして被り、この話し合いに参加すれば良かった、と余計な事を考えながら、ずっと髪の毛をグシャグシャしていた。話しをたくさん聞かせていただいた。その方はお返しとばかりにボクにその方が書いた物語をプレゼントしてくれた。とても気持ちの良いことをしてくださる。仕事ぶりを見せていただくということが、人間性の良し悪しよりも信用できることがあるのだ。また1人、面白い仲間が増えたのでありました。

さて、8月のライブラッシュが明日(日付上は今日)から始まる。まずはダイノジ大谷さんとのトークライブ。あのライブ特有のオープニングのお客さんのピリついた雰囲気と、表で話すにはディープすぎる内容に、今から胸が躍るのです。大谷さんは野球が好きなようだから、「プロ野球中継に思うこと」について話したいな。翌日の『はねるのトびら』の収録が遅いことを願う。ライブ終わりにしこたま呑んでやるために。

『よしもとクリエイティブエージェンシー』と呼ぶのには大人げなく抵抗があって、あいかわらず『えろつべ』にお世話になりっぱなしで、『夜は短し、歩けよ乙女』に出てくる彼女にこの夏真剣に恋をし、そして29歳になってなお、学園祭の続きをしているような、そんな毎日をおくっています。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 5日 (水)

人生、芸人まみれ

「出たい番組は何ですか?」と訊かれたら迷わず、『爆笑オンエアバトル』と『エンタの神様』と答えている。梶原と2人の時は漫才をしている時が自分の中で最も収まりがいいし、『KING KONG LIVE』で増えたネタをTVで流せてお茶の間に届けられるなんて最高だ。M-1が終わったら真剣に考えたい。

「今回のネタは良かった」「前回のネタの方が良かったなぁ」、いつまでもそんな勝手な言葉を浴びせられる対象でありたい。そしてなにより、ウケて喜んで、スベってヘコんで、そうやって自分自身がドキドキしていたい。M-1から一度離れて再挑戦を決めた時に、周りに「なんで?なんで?」と言われたけれど、今になってやっぱり良かったと思えている。なんだか健康的な感じなのだ。おかげで『KING KONG LIVE』終わりの楽屋で梶原と喧嘩になったりもするけれど、その光景を見て糞ダルマなんかは「微笑ましい」と言う。きっと、そういうことなんだろう。

「師匠」と呼ばれるぐらいのお爺ちゃん漫才師が、『爆笑オンエアバトル』の敗者コメントを言っていたら、それだけで胸キュンだ。ボクはそういう芸人になりたい。そして若手芸人に「お笑いヘタクソ」とバカにされたい。

そしていつかは、なんばグランド花月に帰りたい。19歳、初めてあの舞台に立ったときの感覚が今でも忘れられません。

自分の生き様が、今夜どこかで誰かの酒の席の話のネタにでもなっていたら、これ以上のことはないのです。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 4日 (火)

惑星グリンゴ、雨の星

海外旅行であろうと、なるべく小さなショルダーバック一つにまとめてしまう。荷物というものが嫌いなので、できる限り中身を減らしたい、というのは昔から。そんなわけで、もはや生活必需品となってしまっているノートパソコンであろうと家におきざりにしてきたのだ。

実は今日、明日と、ちょいと旅に出ておりまして、この文章と明日の文章は昨日まとめて書いたものとなる。パソコンという荷物を減らすためだ。

今日は今月10日にインパルス堤下(先輩)と2人でやるライブ『真夏のときめき☆歌謡ショー』のお話を少し。

コレ、もともとは『ろくでもない夜』という月1の糞ライブ内のワンコーナーでやっていたもので、ある時期までは名物になっていたのだが、『ろくでもない唄』という音楽のライブが始まったのをキッカケに、『ろくでもない夜』は「くだらないことだけをしよう」という明確な棲み分けができて、そのタイミングで無くなったもの。しかし、Naked Loftの店長さんがそのコーナーのファンで、「是非、やってちょうだいな」と懇願され、レギュラーで何度もやるわけじゃないし、「夏だし、やるか」という実に簡単なノリで今回の運びとなったわけだ。ひとつ悔やまれるはライブのタイトルが地獄的につまんないということ、それぐらい。

先日、呑んだ時に確認したらば、堤下(先輩)が前半、ボクが後半をそれぞれ1人で受け持つ構成だそうな。そこで一度休憩が入って、ラストは2人揃ってペチャクチャと。2人揃ったらいつも通りの罵り合いになることは避けられないから、1人の時に何か特別なことができないかと考える。独演会との棲み分けもしなければいけない。

そこで考えたのが、3日前のブログでチラッと書かせていただいたことをしようかと。

読まれた方はご存知だとは思いますが、『Dr.インクの星空キネマ』という絵本の中で、少しだけ毛色の違うお話があります。第3部の『ドンドコ山のバケモノ』というお話がそれです。『Dr.インクの星空キネマ』というのはとても複雑な宇宙のお話で、よって書き始めはパソコンではなく、まず大きなスケッチブックに、「どの星で何が起こって…」「この星とこの星の距離はコレぐらいで…」という、話の元となる設計図を描いてから、ストーリーを書き進めていったというものです。結果的に一冊の絵本には収まりきらないぐらいの話が生まれ、その中からバランスを考えて抜粋した4本が絵本となりました。そして『ドンドコ山のバケモノ』というお話も絵本にはなっているのですが、実はあの話には前後にもう少し話がくっつきます。「バケモノはどうして太鼓を叩いているのか?」「そもそも、どうして森に太鼓があるのか?」「西野はあの終わり方を良しとしているのか、していないのか」、絵本だけでは説明のつかない前後のお話を、今回、『朗読』というカタチで解決させようかと思うわけです。

もちろん絵はありません。ボクの口でストーリーを朗読するだけです。そこで来られる方にお願いしたいのが、ライブレポートという形でホームページやその他の媒体にこのお話を載せないと約束していただきたいということと、できれば『Dr.インクの星空キネマ』を読んできていただきたいということです。話の続きを話すのに、元のお話をしらなければおそらくチンプンカンプンでしょうし。そして、バケモノのお話は最後、『グリンゴ』という唄に繋がります。ボクからこのライブに来られるお客さんへ、小さなお話のプレゼント。

それでは8月10日、新宿Naked Loftで逢いましょう。

2009.08.10 新宿Naked Loft 『真夏のときめき☆歌謡ショー』

2009年8月 3日 (月)

じっと見る子供

幼稚園の頃にはしっかりとエロ心が芽生えていて、お泊りの時なんかは先生の着替えシーンを狙っていた。そのエロ心を公言する奴もいれば、隠しもったムッツリさん(この方が正常か)もいて、皆それぞれ、「子供」と捉えてくれる先生の油断につけ込んでいた。

普通に考えて、「でちゅね~」と話す友達なんて周りに一人もいない中、そんな言葉を使うのは自分たちに対する一部の大人で、とにかくその感じが気持ち悪くて、そういう一部の大人とは距離をおいていた。

絵本を読んでくれる大人にも違和感があって、横を見たら、退屈そうな目で絵本を読んでいる顔があって、「あんたが面白いと思っていないものを観させるなよ」という苛立ちがあった。おかげで後にタモリさんとこの話で盛り上がり、「絵本出版」に話は転がり、素敵な人生経験の一つとなったわけだが。

よそのウチの事情はしらないが、着させてもらう服の「おさがり」具合や、4人兄弟という理由から、だいたいの家庭のお財布事情を察して、幼稚園の帰り道に「あまり贅沢は言えないなぁ」と考えていたり。

身体は小さいが、子供は子供なりにモノを考えている。ボクに息子や娘がいるわけじゃないから、あまり出しゃばった事は言えないけれど、少なくとも自分が子供の頃は大人の姿をじっと見て、あれやこれやと考えていた。きっと皆もそうだと思う。

先日の番組ロケは河原での撮影。見物の方もたくさんいて、移動中には声をかけていただく。その中で1人の母親が子供の手をひいて、「写真を撮ってください」とやってきた。その1人を許可してしまうと、他にも来られる可能性があって、各所に迷惑がかかってしまうと危惧した番組プロデューサーが間に入って、「申し訳ありません。他の方もお断りさせていただいておりまして…」と深々と頭を下げたが、母親は構わずシャッターをパシャリ。

これが自分の母親だと思うとゾッとする。この先、何年間もこの母親に叱られなきゃいけないし、「人として」を教えられなきゃいけないわけだ。あの時、母親の隣にいた子は何を考えていたのだろう。母親からバカな洗脳をされていたら話は別だが、とても辛い思いをしただろうな。

それはボク達のように表に出る人間にも少なからず原因があると思う。自分の口を閉ざして、「お客さんにいかにハマるか」ということに寄せすぎだ。それじゃ、どんどんこじんまりしていくよ。そのシッぺ返しは必ずある。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 2日 (日)

責任

ブログというものを毎日書いている。もう何年か毎日更新しているが、どうにか続けられているのには理由があって、仕事から帰ってきて、なんとなくパソコンを開いて、なんとなく書き始めてみるわけで、あまり「あの事を書くぞ!」という意気込みではなく、書きながらなんとなく言いたい事を見つけて、それとなく話をまとめていくという手順をふんでいるからだ。

ゴールもわからず、とりあえず書き始めているもんで、つまりは「今日は書く事がない」ということが書かない理由にはならないのである。そのことに気がついた時にはすでにかなり書き進めているからだ。

しかし、今日のように言いたいことがある日というのは難しい。どう書けば真っ直ぐ伝わるかを考えなきゃいけないし、そもそも照れくさい内容の場合、声のトーンや言い方までは書けないから、やけにクサくなってしまいかねない。唐突に書くのは重たいし、できれば流れの中でサラっと書きたい。さて、どうしたものか…。

そしてボクは、この文章のどこかで言いたいことが言える最高のタイミングがやってくる偶然を探しながら、やっぱり今日もいつもの調子でなんとなく文章を書き進めてみることにした。

昨晩はしこたま酒を呑んだ。『はねるのトびら』のロケ終わりで、堤下(先輩)と馬場ちゃんとそのまま呑み屋に流れた。糞ダルマも誘って、今月10日に堤下(先輩)と2人でやるライブ『真夏のときめき☆歌謡ショー』の会場となるネイキッドロフトの店長さんにも駆けつけていただき、「TVがあーだ、ライブがこーだ」と話した。とても楽しい時間。

夜もかなり更けた頃、ボク達が呑んでいた店に集団がやってきた。顔を見れば、昔からよく知る番組スタッフの皆様方。互いのグループに気を使うような人がいたわけでもなかったので、ゴチャ混ぜで呑むことになった。少し酒が入ったスタッフさんの悔しそうな言葉をたくさん聞いた。「うん、うん」と聞きながら、なんとかしなくちゃいけないなぁ、と勝手な使命感に燃えたりもした。それはきっと酒のせい。

誰だって思い通りにいくことの方が少ない。だけどボク達が目にするのは思い通りにいった人の姿だったりするから、やけに焦燥感にかられる。それは、その人の10分の1の姿ということを、その時はすっかり忘れてしまっている。その人も残り10分の9は苦い思いをしている。オンリーワンだとか何とかで、「人を羨んでもしかたがない」と言うが、ボクはやっぱり羨んでしまう。だけど、自分の中で決めているルールは「その人のマイナス面をフィーチャーしない」ということ。これだけは守る。そうやって自分を安心させるのは不健全だ。そのとき自分の足が止まっているから。

そしてボクは昨晩のその呑みの席でスタッフさん達に少し自分の考えを話した。その話はきっとここで言うような事ではないので、いつかあなたと酒場で居合わせた時にでも聞いてください。

ヘベレケになった御一行様は、我が家に流れ込む。子供の頃からボクが観てきた何千本のコントの中でボクが一番好きなコントは、バナナマンさんの『Secretive person』というネタ。「メチャクチャ面白いから」と言って皆をリビングに集め、そのネタのDVD上映会。朝方にバナナマンさんのプレゼンに励むキングコング西野亮廣(29)。さんざん笑わせてもらったあとに、『日本の地下空間』に続く西野家DVDシリーズ第2弾『マリン・アドベンチャー』の上映を始めたら、バタバタと眠り出す御一行様。海底数千メートルの奇跡の映像が虚しく流れる。悔しい。名誉の為に言っておくが、『マリン・アドベンチャー』は傑作です。

あいかわらずの夜だった。

こんな調子でボク達の毎日は勝ったり負けたり泣いたり笑ったり普通だったりで、あいかわらず。29年間も毎日生きているのに、あいかわらず明日の予測すらつかない。その先になるともっとだ。だから誰だって不安なんて一生消えやしない。そんな状態で、誰かの想いを背負ったり、責任というものを背負う覚悟を決めた人は無条件にヒーローなのです。

ようやくタイミングがきましたね。

第2子誕生おめでとう、梶原雄太。

2009.08.19 京橋花月 『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』

2009年8月 1日 (土)

帰ろかな夏の夕暮れヒグラシ鳴いた

堤下(先輩)に教えてもらった美味しいイタリアンのお店でワインを傾けながら、お笑いの話で夜を明かす洒落た日もあれば、作業部屋でカップラーメンをすすって、『ようつべ』でシコシコぶっこいて、ひたすら作業で朝を迎えるスットコドッコイな日もある。だいたいの日は後者。ボクの毎日は相変わらずで、さほど変わりはないが、そんなのお構いなしに季節はズンズン前に進んで、2009年も夏が来た。8月だ。

「8月はライブ」という話をチーフマネージャーとしたのが、梅雨入り前だっけか。とにかく8月はライブに明け暮れる。

【6日(木)】はダイノジ大谷さんと2人のトークライブ『うるさい2人』。このライブのお客さんは独特で、なんだかお客さんが緊張しているようにも思える。まったく何を話し出すか分からないから、裏でスタッフさんも気が気でない。先日、大谷さんと劇場でお逢いした時に軽く、「何話すんすか?」と訊いたらば、「今回は俺が西野にインタビューするよ」と一言。何を聞かれるのやら。いやらしい表情を浮かべておられたので、平和な質問じゃないだろう。

【9日(日)】は新宿LOFTで『ろくでもない唄』。出演者一覧表のようなものを見たが、すごい数。来られた方はご存知だとおもいますが、楽屋から芸人が溢れて、活気に溢れております。「ケガ人だけは出ませんように」、そう願うばかりです。最善の注意は払います。間違ってもヒールなどで来られぬよう。皆さんで、夏らしい、お祭りの一日にしましょう。ご協力お願い致します。

そしてその翌日、【10日(月)】は新宿ネイキッドロフトで堤下(先輩)とボクの2人による『真夏のときめき☆歌謡ショー』があります。ネイキッドロフトの店長さんと堤下(先輩)と呑んだノリで決まってしまった誰からも必要とされていないライブです。とはいっても、お金を払って来ていただくわけですから、このライブでしか観れないものをお見せしたいと思うわけです。そこで、このライブに来られる方に一つお願いです。ライブ時間の振り分けをどうするかはまだ決まっていませんが、もしも、堤下(先輩)が前半、ボクが後半、とお互いに受け持つようになったらの話です。『Dr.インクの星空キネマ』という絵本を読んできておいてもらえないでしょうか?実はあのお話には続きがあります。少し、そのお話でもしようかと。まぁ、これはまた決まり次第お伝えすることにします。

そして【19日(水)】は京橋花月にて『第40回 西野亮廣独演会 大阪公演』です。もともとは大阪からスタートした独演会。全国をほぼ一周して帰ってまいりました。大阪での独演会はいつぶりになるでしょうか?多感な時期を過ごし、死ぬほどお世話になった第2の故郷。次に大阪でやるのもまた何年後とかになってしまうでしょうし、思いきって出し切りたいと思います。ひたすら、ひたすら楽しみな日です。大阪の皆様、どうぞ御贔屓に。

【24日(月)】は佐世保にあるアルカスSASEBOにて『KING KONG LIVE 長崎公演』でございます。長崎といえば、数か月前に独演会でお世話になりました。あの時の皆さんとも是非お逢いしたいものです。漫才を7~8本ぐらいして、とっとと終わってしまうという、それだけ聞けば薄っぺらいライブですが、これが完全燃焼です。とりあえず今のキングコングが出せるもは出し切るつもりです。どのネタをするかはまだ決めてはおりませんが、先月の『Made in KingKong』で作った最低にくだらない新ネタは入れようかと思っております。個人的にかなり好きなのです。

こうやってライブスケジュールを文字に起こすと、体力的な不安が生まれてきました。もちろん間には、通常のTV、ラジオ収録や、ルミネ出番、NGK出番、京橋花月出番、営業があるわけで…はたしてこのペースでライブをやって喉はもつのでしょうか?そんなのは見て見ぬフリで、【26日(水)】は『第41回 西野亮廣独演会 鹿児島公演』です。大阪公演ももちろん楽しみですし、そしてその一週間後のこの鹿児島公演。独演会のフットワークの軽さに感謝します。まだ行ったことのない場所、まだ逢ったことのない人、そんなところでお笑いができることは、芸人としてはやっぱり幸せなことです。たくさん笑い声を聞いて帰ろうと思います。

【28日(金)】は『ろくでもない夜』です。いつもは土曜の夜が多いのですが、今回は金曜の夜です。お間違いのないように。それ以外は、説明不要の糞ライブです。毎度、何の成長もありません。「ただ、くだらないことを」、これがコンセプト。今回は誰が爆発するのやら。

そして夏の終わり、8月の最終日【31日(月)】は『Made in KingKong』です。毎回オープニングで、キングコングの新ネタを一本。あとはゲストの方をお招きして、トークにゲームにやんややんやとハシャぎます。ですが、まだゲストがブッキングできておりません。というのもこの日は裏でキングオブコントの準決勝があるのです。ですから、そこに出られる方は必然的にお呼びできないのです。なので、今のところのゲスト情報としましては、「キングオブコントで早々に敗退が決まった方」ということになります。もしも、このブログをご覧の芸人さんで、キングオブコントで早々に敗退された方がおられればご一報ください。『Made in KingKong』の会場で、いくらでも八つ当たりの対象になりましょう。

ザッと。夏はこんな感じです。体力がいりそうですね。このスケジュールにはもちろん想いがあります。

ボクはいつの日かライブで飯が食えるようになりたいです。

2009年、夏。

さて、やりますか。

2009.08.09 新宿LOFT 『ろくでもない唄』

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