冒頭部分は女性には理解し難い悩みなので、おおいに読み飛ばしていただきたいのです。
昨日の深夜、翌日に締切が迫った和田竜さんのコラムの挿絵を描いておりましたら、これでもか、というぐらい陰毛がボクの亮廣に巻き込んでまいりまして、剥がしてもしばらくするとまた巻きこんで、延々その繰り返し。ボクの亮廣が、本番の時以外は帽子を深めに被っているもんだからそのようなことが起こってしまうのですが、日によっては、昨晩のように何度も何度も巻き込んでくることがあるのです。
そしてそれが作業中に何度も巻き込んできたもんだから、さすがに我慢の限界に達し、陰毛が巻き込みにかかれない長さまで切ることにしたのでした。おかげで今度はチクチクしだして、これはこれでやっかいで、もう堂々巡り。どうしたもんか。
我が家にはFAXがないため、昼過ぎ、描き上がったイラストを持って吉本本社へ配達に行く。『Zip&Candy』の描き上がった2枚の原画を幻冬舎の袖山さんにお渡しする用事もあったし、咳が止まらないので病院にいくついででもあったし、ムスタングの運転で気分転換も兼ねた。
袖山さんに原画を渡し、その場で小説の事も話した。書き直したラストシーンが気に入っていただいたようで、なにより。これから袖山さんの手によって、原稿に「赤字」と呼ばれる、誤字脱字、表現の至らない箇所のなかなか厳しめの要求が入り、それを受け取って再度書き直す作業に入る。なのでしばらくは袖山さんが原稿と向き合う時間となる。ボクはその間に絵本制作を進める。こんな調子で、今は本を2冊同時進行で作っている。絵本第二弾『Zip&Candy』と、日本列島ドンガラガッシャン大作戦第二弾の小説(タイトルはまだ秘密)だ。幻冬舎に届いたファンレターとイラストレーターさんのイラストを受け取り、帰りの車の中でいろいろ考える、「手を出す」ということについて。
このブログでも何度も書いているし、いつも思うことなんだけど、たとえば番組でタレントさんが、「〇〇さんは絵本も出版されて、多彩な活動を―」というような紹介をされる(ボク自身も経験があったかもしれない)シーンを目にすることがあるんだけど、ボクはあれが苦手。もちろんご本人には何の非もない。なんかね、肩書きの一つみたいになっていることだとか、出版したことがゴールとなっていることだとか、そういうのが苦手なのです。要は、内容でしょ?その絵本がどんな内容だったかが、一番大切なことなのではないかと。そこをハッキリさせないと。
それは結局どこに対しての配慮かと言えば、絵本を出版したい、と思って学生時代からずっと勉強してきた人がいるんだよ。小説家さんにしても、イラストレーターさんにしてもそう。中には大変才能があって、それでも埋もれている人もいる。そんな悶々とした生活の中で、テレビを点けたらタレントが簡単に本を出版しているのだ。いや、タレントさんも決して「簡単」には本を出せてはいない。そこまでの苦労、それはタレントとしての苦労も含め、並大抵のものじゃないけど、テレビでは「簡単」として映ってしまう。かと言って、「私はこの本を出す為にこれだけ苦労したんですよ」と番組中にいちいちアナウンスするのもおかしな話だし、結局は、内容をもってして、そういった人達を黙らせるのが礼儀だと思う。そのラインは絶対に守らなきゃいけないなあ、と思うのです。
ボクの周りは芸人はもちろんのこと、ジタバタともがいている人が多い。grandcanyonのデザイナーさんは、しょっちゅう頭がガシャガシャ書き毟ってあの手この手を考えているし、編集者さんは朝に仕事が終わるなんて当たり前のようにある。「納得がいかない、悔しい」と泣きながら電話してくるオジサンもいる。ライブを観に来るお客さんの中にも、歌手を目指している人や、小説家を目指している人、それこそ芸人を目指している人がいて、皆一様に溺れそうになりながらもジタバタともがいている。人を楽しませよう、と往生際の悪い人達を、ボクは心から尊敬する。年上年下、結果、収入、関係なく。皆、頭を抱えている。そういう人達を無碍にしちゃいけない。
梶原家へのFAXへの送り方がわからないボクは、漫才台本を糞ダルマを間に入れて梶原に送ってもらう段取りを取っているのですが、漫才を書きあげて、少しでも早く、と糞ダルマに台本を送り転送してもらうようお願いしたところ、「夜遅くFAXしてしまうと、梶原さんが奥さんに怒られてしまうので」という驚きの理由で転送を拒まれる。そんなものが漫才の弊害になってしまうようなら、漫才をやめてしまったらいいし、もちろんボクも「そうだね、奥さんに怒られるのはよくないよね」と刀を収めるはずがなく、再度お願いするガッカリな結末。
いろんなことにズッコケたり、無難に取り繕うとする温さに腹を立てたり、溜め息ついてはまた奮起して、這うように進む毎日です。それでも往生際悪く白旗は上げず、なんだか楽しいことをしたい、ととても簡単なことを思う。モノを作るのは大変だ。例えばあなたが、それでもモノを作りたい、と思う往生際の悪い類の人なら、ボクはあなたを応援したいと思う。とは言っても、直接会って話を聞いたり、意見したりもできないので、この場を使ってできること。
あなたが頑張っていたら、その励みになるような。あなたがサボっていたら、後ろめたさばかりを感じてしまうような。そんな、あなたを写す鏡のような文章をこれからもここに書き綴ろうと思います。
2009.10.25 成城ホール 『Made in KingKong』 ゲスト:ココリコ遠藤章三 ガリットチュウ