2010/03/22
ありがとう、蝶々さん
昨晩受け取った5月に出す小説のゲラをカバンに詰め込み、始発の新幹線に飛び乗って一路大阪へ。もう少し後の時間の新幹線でも十分間に合ったが、昨晩は作業が4時過ぎまで押してしまい、一度眠ってしまうと起きられないと判断した。チャンスは今日しかないのだ。おかげで行きの新幹線は爆睡。
大阪行きの目的は戸田恵子さん出演、三谷幸喜さん作・演出の一人舞台『なにわバタフライN.V』を観劇しに。三谷さんが「きっと勉強になると思いますよ」と席を用意してくださったので、まんまと甘えてみた。
あたりまえだが、開演数時間前に大阪到着。迷わないように劇場の位置を確認し、時間を潰しに近くの喫茶店へ入り、ゲラチェック。まもなく舞台が始まるというドキドキと、「喫茶店でゲラチェックってなんだかカッチョ良くないか」という腐った自意識にやられ、作業がまったく手につかない。そんなこんなで『なにわバタフライN.V』開演の時間となる。
31日まで公演があるので、内容は言えないけれど、音楽やセットで強引にもっていくわけでもなく、あまりにもシンプルな舞台。だからよけいに演者さんの隅々までを観てしまう。ありゃ怖い舞台だ。
そんな中、「あのシーンはきっと‥」なんて小難しい深読みをする間もなく、ただただ物語と舞台上の戸田恵子さんに釘付けになる。とにかくカッコ良くて、そしてなにより、とんでもなくカワイイ。もう本当にカワイイ。客席のボクはすっかりメロメロで、戸田恵子さんの一挙手一投足にイチイチ笑わされる。好きになるしか道が残されていないぐらいおバカなシーンもあって、もう痛快、痛快。
決してそんなことは口にしないだろうけれど、きっと蝶々さん喜んでるだろうなあ。戸田恵子さんが押し倒されるおバカなシーンがあるんだけど、蝶々さんが照れた時のあの淡々とした調子の「アホか」が聞こえてきたもん。
終演後は楽屋に挨拶に行きたかったけれど、帰りの新幹線の時間が迫っていて、泣く泣く劇場を後にした。だけど半分はホッとした気持ちもあった。お逢いしたところで、緊張して喋れないに決まっている。『グッドナイト・スリイプタイト』を観に行った時も、結局、三谷さん本人への直接の挨拶そこそこに、別れてから長々と感想メールを打ったのだ。まあ、ただのファンなんですよ。
嗚呼、ボクは幸せだ。この国はうるさい人も多いけれど、面白い人がたしかに居てくれる。ちょいとだけ疲れた時は、その人たちの作品に身体をあずけて、あとはデレデレと笑える。明日も頑張ろう。喋るのが苦手ならモノを作って、そいつに本音を代弁もらうしかないのだ。今回のお礼に三谷さんには今度出る小説を、そして戸田さんには別のプレゼントを送ろうと思う。ビックリさせてやるのだ。ムフフ。
そんなわけで今夜は、開演前の喫茶店で失敗したゲラチェック。校生さんが訂正してくださった漢字がさっそく読めない。これは、なんとゆう字だ? ガンバレ、西野。
小説発売、まもなくです。




