2010/03/21
SAYONARA ~キミの温もり~
昨晩。ボクが煙に包まれていた頃、NONSTYLEがS-1という大会で賞金1億円を獲得したという。ちなみにS-1は、開催発表の記者会見の場で「出ません」と言って、その場に居合わせた大人の皆様にすこぶる睨みをきかされて以来、我々キングコングはノータッチ。
今朝、井上から連絡があり、そこで奴らが優勝したことを知る。意外にも井上は丁寧な男なのだ。
それにしてもだ。石田からの連絡がない。「なんでわざわざ西野に‥」という声もあるだろうが、我々はデビュー当時から苦楽を共にしてきた同期のお友達だ。めでたい時はいつだって一緒に喜ぶスタンバイはできている。一声あってもいいじゃないか。
その時、嫌な予感がよぎった。もしや、と思い石田に連絡を入れる。「テメエ、賞金を持ち逃げする気じゃないだろうな!おごれー!おごれー!」
“なんで獲ったことを黙っていたんだ”と問い詰めると、彼は黙っていたわけではなかった。
一億円のプレッシャーにペシャンコに潰されていたのだ。
なんとも石田らしい。奴の表面の素材はナイーブでできている。プレッシャーにはめっぽう弱いのだ。いやあ、笑った。
とにかくおめでとう、NONSTYLE。しばらくは少し大変なこともあるかもしれないけれど、時間が経てば笑い話。大丈夫、大丈夫。
ところで昨晩だ。ボクは煙に包まれていた。
部屋に転がっていたクロワッサンを食べようと、封を見ると、「オーブンで2、3分温めていただくと、より一層美味しくお召し上がりいただけます」とある。我が家にはオーブンがないので、深くは考えず電子レンジに放り込み、2、3分待った。
まもなく、リビングを間に挟んだ作業部屋にまで聞こえてきた電子レンジの悲痛な叫び。聞いたことのない電子音が家中に鳴り響き、慌ててキッチンに駆けつけると、電子レンジから煙が漏れているではありませんか。
電子レンジのフタを開けてみると、煙が塊となって飛びかかってきた。咳込みながらも煙を払い、中をのぞくと、そこには燃え尽きたパン。より一層美味しくお召し上がりいただけそうにもない。まるで石炭のようだ。
そうか。オーブンと電子レンジのポテンシャルがそもそも違うのか、と気づくも時すでに遅し。振り返ると、部屋には煙が充満してしまっている。パンは燃え尽きていたので、現在何かが燃えているわけではないので火事の心配はないものの、こいつはマズイ。非常にマズイ。
煙に反応すれば、火災警報機が作動してしまうのだ。なんてこったい。
慌てて換気扇を回し、ベランダの窓を開け、煙を外へ逃がす。なんてったって、警報機の誤作動で外に出された住人の皆様のしかめっ面を知り尽くしているボクだ。あの顔の矛先がこちらに向くなんてまっぴらゴメン。
ボクは警報機の下に立ち、迫りくる煙をスケッチブックでパタパタと扇ぎ遠くへ追いやった。現在制作中の『Zip&Candy』が描かれている大切なスケッチブックだが、背に腹はかえられない。ひたすらパタパタパタパタ。
部屋はすっかりパン屋さんの匂いになったが、どうにか警報機は鳴らさずに済んだ。しかし、この難を逃げ候こと本懐にあらず。
廃人の様子を呈している電子レンジちゃんが、スイッチを入れてもウンともスンとも言わない。死んじゃった。今まで幾度となくサトウのごはんを温めてくれた電子レンジちゃんが死んじゃったのだ。ごめんよ。アイラブユー・サヨナラ。
拝啓、NONSTYLE様。同期芸人からのお願いです。
一億円の使い道は、日々節約をしてお金をやりくりしながら携帯料金を支払っているソフトバンクユーザーの方々に還元するか、ボクの新しい電子レンジを買うというのはどうでしょうか? 何卒、ご検討願います。



