いつも!ガリゲル
良くも悪くも世に出られたのが早く、厳しい現実を突き付けられながらも、それでも甘い希望的観測を持ち続けていたのは、つまりところ若さ。20歳の頃に東京ローカルの深夜枠でスタートした「はねるのトびら」。この番組を軌道に乗せ、いつかゴールデンタイムに昇格することができたら、その時は(お恥ずかしい話)自分はスターになっているものだと信じて疑いませんでした。
決してトントン拍子というわけではなく、どちらかと言うとヒーヒーと息が上がりながらも、25歳になったばかりの頃、ついに番組は全国ネットのゴールデンタイムに昇格することになります。
ところがどっこい、自分を取り巻く環境はそれほど大きく変わってはいませんでした。もちろん自分の実力不足は百も千も万も承知でしたが、子供の頃に観ていたテレビでは、若手お笑い芸人の深夜番組がゴールデンタイムに進出した時は、それすら有無も言わせぬ力があったように記憶しています。
時はお笑いブームで、テレビで若手芸人の姿を見る機会がそれほど珍しいことではなくなっていました。時代が変わっているのに、当時の方法論が通用するハズがありません。まあ、一番の理由は何よりも自分の実力不足ですが。
とかく、全力で平手打ちをされたような感覚になり、ここでようやく自分の甘さを思い知ります。
枕が長くなってしまいましたが、この時に「極端なことをしなければいけない」と強く思ったのです。そうしなければ、「大きなドンデン返しを作れないまま、いつの間にか歳を重ねてしまう」と。
そこから仕事の取り組み方、プライベートの使い方、1日24時間の時間配分‥‥あれやこれやと改めていくわけですが、なるほど自分一人で漕いだ船はなかなか前には進みません。これまで進めていたのは流れに乗っていたからだと、またもや浮世の平手打ちをくらうわけですが、その流れの先に行くのはやめようと決めたわけですから、エッサホイサと漕ぐ手を止めませんでした。
人知れず、そんなことを続けていたら、一人二人と人が乗って来て、極端な方へと進む漕ぎ手が増えてきました。そこに西田二郎というペリーを乗せた「いつも!ガリゲル」という黒船がやってきて‥‥すみません、船で喩えるのが苦しくなってきたのでやめます。
「いつも!ガリゲル」のコンセプトはこれまで自分が経験したバラエティーとは全然違っていて、ともすれば「オチがない」「フリが弱い」といった批判すら飛んできそうな企画も平気な顔でやってしまう番組でした。
企画書を読まさせていただいた段階では少し戸惑いもありましたが、ネタ番組でもない、クイズ番組でも情報番組でもグルメ番組でもない、「いつも!ガリゲル」という番組は、そういったフォーマットをまた新たに構築しようとしているのだなあと整理がついて、その挑戦にはすごく興味が沸いたので、今では「全のっかり」をモットーにやらせていただいております。
今月18日に番組初となるDVD「なぜか離島へ」が発売となります。芸人を離島に放り込んだらどんな化学反応が起こるのかをドキュメンタリーで収めたものです。コンビの関係、そしてやはり芸人というのはつくづく可笑しな生き物だと知りました。まったくヘンテコリンな企画です。
そしてヘンテコリンな勢いそのまま、番組はついに音楽イベントを立ちあげてしまったのです。前例がないので、どこへ着地するかなんてまったく分かりませんが、それを可能性と呼ぶのでしょう。
僕はいつもそういう場所でドキドキしていたいです。
☆☆☆
2012年2月12日、なんばHatchにて。ガリゲル音楽祭「おとあい」。本日チケット発売です。





